寸法すんぽう)” の例文
その上前にも云った通り、は深いし風も出ている、——わたしの商売にとりかかるのには、万事持って来いの寸法すんぽうです。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのあくる日ミリガン夫人ふじんは、わたしたちに会いに来た。かの女は洋服屋とシャツ屋をれて来た。わたしたちの服とシャツの寸法すんぽうを計らせた。
ぶンとうなったのは二どめのき、まえのやり寸法すんぽうばいにのびていったように慈音じおん胸板むないたへ走ったが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どういうすじ仕組しくむのか、そいつは作者さくしゃ重助じゅうすけさんにはかってからの寸法すんぽうだから、まだはっきりとはいえないとのことだった、松江しょうこううつしたおまえ姿すがたを、舞台ぶたいられるとなりゃ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
基礎がちゃんとうまく出来ていればよいのに、それが寸法すんぽうどおりいっていないものだから、ハンマーをがんがんふるわなければならないのだ。それは全くよけいな心配をぼくにかける。
もくねじ (新字新仮名) / 海野十三(著)
「どういたしまして、こちらがわるいのです。寸法すんぽうをまちがえましてすみません。」
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
だって三次元世界といえば、横とたてと高さの三つがある世界のことさ。人間のからだでも、木でも、マッチ箱でも、みんな横の寸法すんぽうと縦の寸法と高さとを測ることができるじゃないか。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
浦屋うらや高尾たかおがどれほど綺麗きれいだろうが、楊枝見世ようじみせのおふじがどんなに評判ひょうばんだろうが、とどのつまりは、みめかたちよりは、おんなにおいってきゃくかようという寸法すんぽうじゃねえか。——よくきなよ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
客は註文を通したのち横柄おうへいに煙草をふかし始めた。その姿は見れば見るほど、敵役かたきやく寸法すんぽうはまっていた。あぶらぎったあから顔は勿論、大島おおしまの羽織、みとめになる指環ゆびわ、——ことごとく型を出でなかった。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「あわてずにったり。じきにおくからようッて寸法すんぽうだろう」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)