あだ)” の例文
故にもし臣をして、さらにそれを期せよと勅し給わるならば、不肖、天下の兵馬をひきい、進んで蜀に入って、あだの根を絶ちましょう
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おなとき賈雍將軍かようしやうぐん蒼梧さうごひと豫章よしやう太守たいしゆとしてくにさかひで、夷賊いぞくあだするをたうじてたゝかひたず。つひ蠻軍ばんぐんのためにころされかうべうばはる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十余年前、鬼雄となって我にあだなすものをふせぐべく熊野灘の底深く沈んだこの伯父の遺骨のことであった。
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
三司郡県将校さんしぐんけんしょうこう、皆あだを失うを以てちゅうせられぬ。賽児は如何いかがしけん其後踪跡そうせきようとして知るべからず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ご承知でしょうか——国内で争っているうちにオロシャはカラフトを完全に占領しました、いつ当地にあだするやも知れません、しかも、われら青二才が申すまでもなく
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
永楽元年には、韃靼だったんの兵、遼東りょうとうを犯し、永平えいへいあだし、二年には韃靼だったん瓦剌わら(Oirats, 西部蒙古)とのあい和せる為に、辺患無しといえども、三年には韃靼の塞下さくかを伺うあり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「お出向きなさい。——おそらく、呉に敗れた黄祖のあだを討つためのご評議でしょう」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生きる利なく、窮地に墜ちたがゆえに、降を乞うてきた賊を、あわれみをかけて、救けなどしたら、それはかえってあだを長じさせ、世道人心に、悪業を奨励するようなものではないか。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二十二年春、建文帝東行したまい、冬十月史彬しひんと旅店にあいう。このとし阿魯台アルタイ大同だいどうあだす。去年阿魯台アルタイを親征し、阿魯台アルタイのがれて戦わず、師むなしく還る。今又さいを犯す。永楽帝また親征す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)