宿直とのゐ)” の例文
道人だうじんいはく、きみつねくわん宿直とのゐあたりては、奧方おくがたかならうまつてでらるゝなり。きみさらりたまふまじ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
昔話のつな金時きんときのやうに、頼光らいこうの枕もとに物々しく宿直とのゐを仕つるのはもう時代おくれである。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
障子にさんをおろしたり、お妾との睦言むつごとにまで、見張りの宿直とのゐが、屏風の蔭で耳を濟まして頑張つてゐるといふぢやありませんか、さうなつた日にや、色事だつて身につきませんね、親分
召されては宿直とのゐやつれの手もたゆく草書さうがきしたり暮れゆく春を
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
但し高聲擧げて宿直とのゐさむらひを呼び起し申さんや
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
宿直とのゐやつれの雛星ひなぼし
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
もしいつはりとおもはれなば、れい宿直とのゐにとていへでて、こゝろみにかへりて、ひそかにうかゞうてらるべし、とふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
令史れいしおほいあやしみ、すなはことばごとく、宿直とのゐひそかかへりて、他所たしよにかくれてつまうかゞふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)