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宛
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さな
ふりがな文庫
“
宛
(
さな
)” の例文
と、
斯
(
こ
)
う考えたので、彼は
故意
(
ことさら
)
に小さくなって、
宛
(
さな
)
がら死せるように
鎮
(
しずま
)
っていた。
対手
(
あいて
)
が
温順
(
おとなし
)
いので、忠一も少しく油断した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
然るに世の多くの人々が、此美しい野をも山をも棄てゝ、
宛
(
さな
)
がら「飛んで火に入る夏の虫」の如く、喧騒、雑踏、我慾、争乱の都会に走り来たるのは何故であらうか。
吾等の使命
(新字旧仮名)
/
石川三四郎
(著)
喜びて共に
河辺
(
かへん
)
に至る。洋々たる水は
宛
(
さな
)
がら一大湖水を
湛
(
ただよ
)
わし、前岸有れども無きが如くにして、遠く碧天に接し、上り下りの帆影、
真艫
(
まとも
)
に光を
射
(
い
)
りて、眩きまでに白し。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
ああ東京の街! 右から左から、刻一刻に
滿干
(
さしひき
)
する人の潮! 三方から電車と人が
崩
(
なだ
)
れて來る三丁目の
喧囂
(
さはがしさ
)
は、
宛
(
さな
)
がら今にも戰が始りさうだ。お定はもう一歩も前に進みかねた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
頸
(
うなじ
)
は
鷄
(
とり
)
に似て
鬣髪
(
たてがみ
)
膝を過ぎ、
宛
(
さな
)
がら竜に異ならず、四十二の
旋毛
(
つむじ
)
は巻いて脊に連なり、毛の色は白藤の白きが如しと講釈の修羅場では読むという結構な馬に、
乗人
(
のりて
)
が乗人ですから
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
宅眷
(
やから
)
に補はせなどしぬるほどに
十一月
(
しもつき
)
に至りては
宛
(
さな
)
がら雲霧の中に在る如く
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
所謂
(
いわゆる
)
越中平
(
えっちゅうだいら
)
の平野はここに尽きて、岩を噛む神通川の激流を右に
視
(
み
)
ながら、爪先上りに
嶮
(
けわ
)
しい
山路
(
やまじ
)
を辿って行くと、眉を圧する
飛騨
(
ひだ
)
の山々は、
宛
(
さな
)
がら行手を
遮
(
さえぎ
)
るように
峭
(
そそ
)
り立って
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あゝ東京の街! 右から左から、刻一刻に
満干
(
さしひき
)
する人の
潮
(
うしほ
)
! 三方から電車と人とが
崩
(
なだ
)
れて来る三丁目の
喧囂
(
けんかう
)
は、
宛
(
さな
)
がら今にも戦が始りさうだ。お定はもう一歩も前に進みかねた。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やがて底近く来たと思う頃に、
滔々
(
とうとう
)
たる水の音が凄まじく聞えた。松明を
振照
(
ふりてら
)
して
視
(
み
)
たが水らしいものは見えぬ、
恐
(
おそら
)
く地の底を流れるのであろう、岩に激するような音が
宛
(
さな
)
がら
雷
(
らい
)
のように響いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宛
常用漢字
中学
部首:⼧
8画
“宛”を含む語句
宛然
宛行
宛転
宛名
名宛
宛嵌
宛如
押宛
宛所
宛城
宛字
手宛
大宛
人宛
目宛
引宛
宛転滑脱
宛込
宛転悠揚
幸子宛
...