“太(たい)” の例文
『まあ御病気も太(たい)した事でありませんで結構でした。もつとお弱りかと思ひましてね、案じて居(を)りましたのですが。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
目科は其声高しと叱り鎮めて「いや此傷は、なに太(たい)した事でも有ますまいが何分にも痛むので幸い貴方が医学生だから手当を仕(し)て貰おうと思いまして」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
けいちょう三ねんの秋に太(たい)こうでんかゞおかくれなされ、ほどなくせきがはらのかっせんがござりましてから、またもや世の中がだん/\かわってまいりまして
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そこで金銭でこの苦艱が逃れられるものなら、何とか工夫をして見たい。その工夫が太(たい)した犠牲を払はないでついたら、貴方の身体は私に任せてくれていいでせう。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
何でも太(たい)した人数(ひとかず)が居るのぢや御座いませんか、それならもう少し気の利(き)いた、肌合(はだあひ)の好い、嬉(うれし)い人に撞見(でつくは)しさうなものだと思ひますのに、一向お目に懸りませんが、ねえ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
エヽ猿若座(さるわかざ)の開業式(かいげふしき)でことふきのとう、二十四孝(かう)の竹(たけ)の子(こ)、山門(さんもん)五三のきぼしり、薄(うす)ゆきの三人(にん)わらび、太(たい)十の皐月(さつき)、政右衛門(まさゑもん)のたゝみいわし、なぞト云(い)ふところでございます。
狂言の買冠 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
余は無言の儘(まゝ)に彼れを据(すわ)らせ其傷を検(あらた)むるに成(な)るほど血の出る割には太(たい)した怪我にもあらず、爾(さ)れど左の頬を耳より口まで引抓(ひっかゝ)れたる者にして処々(ところ/″\)に肉さえ露出(むきいで)たれば痛みは左(さ)こそと察せらる
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「いや太(たい)した事は無いのです」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)