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ためいき
ふりがな文庫
“
太息
(
ためいき
)” の例文
「はあッ」と、まだ
太息
(
ためいき
)
を吐いている。「じゃ思い切って言って了おうかなあ! ……あなたが屹度愛想を尽かすよ。……尽かさない?」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
でも昨今は彼女も諦めたか、昼間部屋の隅っこで一尺ほどの
晒
(
さら
)
しの肌襦袢を縫ったり小ぎれをいじくったりしては、
太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いているのだ。
死児を産む
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
長閑に一服吸ふて線香の烟るやうに
緩〻
(
ゆる/\
)
と烟りを
噴
(
は
)
き出し、思はず知らず
太息
(
ためいき
)
吐いて、多分は
良人
(
うち
)
の手に入るであらうが憎いのつそりめが
対
(
むか
)
ふへ廻り
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
すると、幸いにも、そこで降りたのは、彼ともう一人、子を負んだ女の人だけだったので、むこうへ走って行く電車を見送りながら、清三はほッと
太息
(
ためいき
)
をついた。
被尾行者
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
家を
繞
(
めぐ
)
りてさらさらと
私語
(
ささや
)
くごとき物音を翁は耳そばだてて聴きぬ。こは
霙
(
みぞれ
)
の音なり。源叔父はしばしこのさびしき
音
(
ね
)
を聞入りしが、
太息
(
ためいき
)
して
家内
(
やうち
)
を見まわしぬ。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
貫一の
眼
(
まなこ
)
はその全身の力を
聚
(
あつ
)
めて、思悩める宮が顔を鋭く
打目戍
(
うちまも
)
れり。五歩行き、七歩行き、十歩を行けども、彼の答はあらざりき。貫一は空を仰ぎて
太息
(
ためいき
)
したり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
弟は、と問へば、しばし黙然たりしが、何かは知らず
太息
(
ためいき
)
と共に、あれは殺して来たよ、と答へぬ。
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
渠女
(
かれ
)
は始終、涙と
太息
(
ためいき
)
とで聞いてしまつて、さて心の糸のもつれもつれて、なつかしさと切なさとに胸裡は張り裂けんばかり、銀が今の身の上
最愛
(
いとし
)
と思ひつめては、ほとんど前後不覚。
もつれ糸
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
おはま (慰めかねて言葉もなく、
太息
(
ためいき
)
をつく)
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
長閑
(
のどか
)
に一服吸うて線香の煙るように
緩々
(
ゆるゆる
)
と煙りを
噴
(
は
)
き
出
(
いだ
)
し、思わず知らず
太息
(
ためいき
)
吐
(
つ
)
いて、多分は
良人
(
うち
)
の手に入るであろうが憎いのっそりめが
対
(
むこ
)
うへ
廻
(
まわ
)
り
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
女は枕に顔を伏せながら、それには答えず、「はあ……」と、さも術なそうな深い
太息
(
ためいき
)
をして、「だから、私、男はもう厭!」
傍
(
あたり
)
を構わず思い入ったように言った。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
されども、この身の上に
窮
(
きは
)
めし
楽
(
たのしみ
)
も、
五年
(
いつとせ
)
の昔なりける今日の日に
窮
(
きは
)
めし
悲
(
かなしみ
)
に
易
(
か
)
ふべきものはあらざりしを、と彼は苦しげに
太息
(
ためいき
)
したり。今にして彼は始めて悟りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「それでは、今度はC子さんに御願い致しましょう」と私が申しますと、C子さんは、何故か
先刻
(
さっき
)
から二三度
太息
(
ためいき
)
をついて居られましたが、この時、決心したように言いました。
手術
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「飛んだことになってしまったものですなあ」と、あとの言葉も出でずに黙って
太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いていた。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
何ともないものが、
惘然
(
ぼんやり
)
考へたり、
太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いたりして
鬱
(
ふさ
)
いでゐるものか。僕は
先之
(
さつき
)
から
唐紙
(
からかみ
)
の外で立つて見てゐたんだよ。病気かい、心配でもあるのかい。言つて
聞
(
きか
)
したつて可いぢやないか
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
小田さんは
太息
(
ためいき
)
をついて申しました。
紫外線
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
幾度か
躊躇
(
ちゅうちょ
)
して、長い
太息
(
ためいき
)
を吐いたが、女がもしその深い山の中に行っているとしたら、自分もそこまで入ってゆかねば会うことも見ることも出来ぬのであると思うと
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
静也は
太息
(
ためいき
)
をついた。
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
そう言ったまゝ、後は
復
(
ま
)
た
黙
(
だま
)
あって此度は一層強い
太息
(
ためいき
)
を洩らしながら、それまでは火鉢の縁に
翳
(
かざ
)
していた両手を
懐中
(
ふところ
)
に入れて、傍の一閑張りの机にぐッたりと身を凭せかけた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「ほんとに私もそう思うよ」お宮は
太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
くようにしていった。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
困ったことだと、ひそかに腹の中で
太息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いていた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
太
常用漢字
小2
部首:⼤
4画
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
“太息”で始まる語句
太息吐
太息嘘