天眼通てんがんつう)” の例文
この天眼通てんがんつうに苦笑を禁じ得なかった津田は、それぎり会話を切り上げようとしたところ、快豁かいかつな爺さんの方でなかなか彼を放さなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「なに巨宝? これはこれは、天眼通てんがんつうとみえまするな」揶揄やゆするように将右衛門、「だがその眼力、狂っていやしょう」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
きよくせよと申されければ平左衞門は心中しんちうに偖々音に聞えし名奉行めいぶぎやうだけありて何事なにごと天眼通てんがんつうを得られし如き糺問きうもんアラ恐しき器量哉きりやうかなと暫時默止て居たりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さすがは親分、天眼通てんがんつうだね。実は親分、あっしは小梅の寮へ行って、これを手に入れたんです」
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
落しっこない性質のものを三輪君の方へ廻した理由わけも、我れ天眼通てんがんつうにはあらざれどもだ、ハッハヽヽ、分っているよ。何うだね。もう好い加減に逐一白状してしまい給え
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わたくしはこのおかたかたならぬみちびきによりて、からくもこころやみからすくげられ、おそのうえ天眼通てんがんつうその能力のうりょく仕込しこまれて、ドーやらこちらの世界せかい一人ひとりちができるようになったのでございます。
斯て天眼通てんがんつうを得たる大岡殿が義理ぎり明白めいはくの吟味にさしも強惡きやうあくの平左衞門一言の答へもならず心中歎息たんそくして居たりしかば越前守殿もあるべしと思はれ乃至よしや其方此上富婁那ふるなべん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「なるほど、そいつは大笑いだ。種を聞けば、天眼通てんがんつうでも何でもなかった」
「なるほどあなたは天眼通てんがんつうでなくって天鼻通てんびつうね。実際よくくのね」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
天眼通てんがんつうだね。恐れ入った」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ありましたよ、親分、藍染川の泥の中に突っ込んで、全く天眼通てんがんつうですね」
見付られたりと云ひ只今富が申立になづみてたゞ寢て居た處などと云ひまぎらせし段重々ぢう/\不屆至極なり假令此上如何樣にちんずる共決して申譯は相立ずと天眼通てんがんつうの一言に流石の長庵いやそれはと云たばかりで答へもなく差俯向さしうつむいて居たりしかば大岡殿長庵を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
天眼通てんがんつうですね」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
天眼通てんがんつうだね」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「成程、そいつは大笑ひだ。種を聞けば、天眼通てんがんつうでも何でも無かつた」
「その通りですよ、親分。まるで天眼通てんがんつうだ」
「その通りですよ、親分。まるで天眼通てんがんつうだ」
天眼通てんがんつうだったね、全く」
天眼通てんがんつうだつたね、全く」
「それはもう、天眼通てんがんつうで」
天眼通てんがんつうだね、親分」