大徳寺だいとくじ)” の例文
つまり、一休いっきゅうさんは、かげのとなったわけで、そんなことから、大徳寺だいとくじ華叟禅師かそうぜんじのもとに弟子入でしいりし、仏門ぶつもんひととなったわけです。
先生と父兄の皆さまへ (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
この秋に、京は紫野むらさきの大徳寺だいとくじで、故右大臣信長こうだいじんのぶながの、さかんな葬儀そうぎがいとなまれたので、諸国の大小名だいしょうみょうは、ぞくぞくと京都にのぼっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
餘り行かぬところなれど襖畫張つけ等もよろしく夜も小ぢんまりとしてよろし 是非見るべし 大徳寺だいとくじ相國寺しやうこくじ建仁寺も見て損を
京洛日記 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
外国人向きの商店ばかり並んだ一条の町を過ぎ、丸山に接する大徳寺だいとくじといふ高台の休茶屋から、暮れて行く港の景色を眺めてゐた時であつた。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
徳川家康いえやすは三人を紫野むらさきの大徳寺だいとくじまらせておいて、翌年の春秀忠ひでただといっしょに上洛じょうらくした時に目見めみえをさせた。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
桂離宮の玄関前とか、大徳寺だいとくじ真珠庵の方丈の庭とかは、その代表的なものと言ってよい。嵯峨さが臨川寺りんせんじの本堂前も、二十七、八年前からそういう苔庭になっている。
京の四季 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
神戸の牛のミソ漬、下総しもうさきじ、甲州のつきしずく、伊勢のはまぐり、大阪の白味噌、大徳寺だいとくじの法論味噌、薩摩さつまの薩摩芋、北海道の林檎、熊本のあめ、横須賀の水飴、北海道のはららご
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
長崎の七不思議、寺もないのに大徳寺だいとくじ平地ひらちなところを丸山まるやまと、古いお宮を若宮と、北にあるのを西山と、桜もないのに桜馬場、玉はあれども大砲なし、しゃんと立ったる松の木を
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ほとんどすべての大本山がここに集ります。浄土宗の知恩院ちおんいん百万遍ひゃくまんべん真言しんごん宗の東寺とうじ智積院ちしゃくいん、真宗の両本願寺ほんがんじ、禅宗の南禅寺なんぜんじ妙心寺みょうしんじ大徳寺だいとくじ、時宗の歓喜光寺かんきこうじ、天台宗の妙法院みょうほういん延暦寺えんりゃくじ
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
大根の花紫野むらさきの大徳寺だいとくじ
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
九月となりてわれはここに初めて団菊両優の素顔すがおとその稽古とを見得たり。狂言はたしか『水戸黄門記みとこうもんきとおしにて中幕「大徳寺だいとくじ焼香場しょうこうばなりしと記憶す。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)