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四筋
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よすぢ
「おゝ
痛えまあ」と
顏を
蹙めて
引かれる
儘に
首を
傾けていつた。
亂れた
髮の
三筋四筋が
手拭と
共に
強く
引かれたのである。
曙は
知らず、
黄昏に
此の
森の
中辿ることありしが、
幹に
葉に
茜さす
夕日三筋四筋、
梢には
羅の
靄を
籠めて、
茄子畑の
根は
暗く、
其の
花も
小さき
實となりつ。
其
葉には、
放肆な
白い
縞が、
三筋か
四筋、
長く
乱れてゐた。代助が見るたびに、
擬宝珠の
葉は
延びて行く様に思はれた。さうして、それと共に
白い
縞も、自由に拘束なく、
延びる様な気がした。