うがひ)” の例文
今我黒き泥水どろみづのなかに鬱すと、かれらこの聖歌によりて喉にうがひす、これ全きことばにてものいふ能はざればなり 一二四—一二六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「あの、貴方あなた、誰にも有仰おつしやらずにね、心配することは無いのですから、本当に有仰らずに、唯私がうがひをすると言つて、持つて来て下さいましよ」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「あゝくるしかつた」と云ひながら、代助の方を見てわらつた。代助は手をたゝいてみづを取りせ様とした。三千代はだまつて洋卓テーブルうへした。其所そこには代助の食後しよくごうがひをする硝子がらす洋盃コツプがあつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
放るゝ鳥の聲に夜は白々しら/″\と明渡りければ女房お政は徐々そろ/\と勝手に立出たちいで麤朶そだをりくべてめしの支度にかゝり文右衞門はうがひなどして其所そこらを片付かたづけさてめしも仕舞ければ是より文右衞門は又々馬喰町へゆき市之丞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
洗ひうがひなどしてあつさしのやすらひ居たり此處は景色もよく後ろは須走すはしり前は山中やまなかの湖水と打眺うちながめ居る彼方のさかより行衣ぎやういたすきかけ金剛杖こんがうづゑを突ながらすゞともに來る富士同者ありかれも此處に休み水を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)