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嗚咽
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をえつ
ふりがな文庫
“
嗚咽
(
をえつ
)” の例文
歪
(
ゆが
)
んだ顏に
嗚咽
(
をえつ
)
が走つて手を擧げて指さす、少しばかりの空地の隅には、筵を掛けたまゝの、竹松の死體が轉がつて居るではありませんか。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もう
四辺
(
あたり
)
が真つ黒い
闇
(
やみ
)
になり、その都度毎に繃帯でしばつた腕に顔を突き伏せ
嗚咽
(
をえつ
)
して
霞
(
かす
)
んだ眼から滝のやうに涙を流した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
それから、彼は急に泣き出して了ひ、「わいの
嬶
(
かかあ
)
は、間男しやがつて、そいつの子を産みやがつて」と
嗚咽
(
をえつ
)
したが、やがて濡れた顔をあげると
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
今も
猶
(
なほ
)
どこかの隅で
嗚咽
(
をえつ
)
の声が
聞
(
きこ
)
える感がして自分の雨に濡れた冷たい裾にも血の
滴
(
したゝ
)
るのかと
戦
(
をのの
)
かれるのであつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
笑声
嗚咽
(
をえつ
)
共に
唇頭
(
しんとう
)
に溢れんとして、
殆
(
ほとんど
)
処の
何処
(
いづこ
)
たる、時の
何時
(
なんどき
)
たるを忘却したりき。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
氣をまぎらすためにM——君から借りて讀んだ萬葉集の、讀み馴れた歌から歌を一首二首と音讀しようとして聲が咽喉につかへて出ず、強ひて讀みあげようとするとそれは怪しい
嗚咽
(
をえつ
)
の聲となつた。
樹木とその葉:03 島三題
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
かう言つてかれは女を抱きしめた。女は
嗚咽
(
をえつ
)
した。
浴室
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
言葉が
嗚咽
(
をえつ
)
の中に消えて了つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
人の
嗚咽
(
をえつ
)
を空に聞く。
我が一九二二年:02 我が一九二二年
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
娘は床の中でそつと
掌
(
て
)
を合せました。平次を見上げた眼は涙に濡れて、唇は聲のない
嗚咽
(
をえつ
)
に、可愛らしく引釣るのです。
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかも涙は
益
(
ますます
)
眼に溢れて来る——乙州は遂に両手を膝の上についた儘、思はず
嗚咽
(
をえつ
)
の声を発してしまつた。が、この時
歔欷
(
きよき
)
するらしいけはひを洩らしたのは、独り乙州ばかりではない。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「わかりますよ、わかりますよ」それから
嗚咽
(
をえつ
)
で声を震はせて——「貧乏がすぎて気が狂つて、それで若死して——お神さんの気持も、その時のあなたの気持も、わたしにはよく分りますよ」
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
いや、そればかりでなく、隣りの部屋で
啜
(
すゝ
)
り泣く聲が次第に大きくなつて、やがてそれは押へきれない
嗚咽
(
をえつ
)
と變り、平次と八五郎を驚かすのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
錦太郎は泣いて居りました、
苦澁
(
くじふ
)
の色が顏一面の筋肉を
痙攣
(
けいれん
)
させて、聲のない
嗚咽
(
をえつ
)
が、時々激情の言葉を
吃
(
ども
)
らせます。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
暗い廊下に立つて、平次は
唐紙
(
からかみ
)
の隙間を指さしました。中からは噛み殺したやうな激しい
嗚咽
(
をえつ
)
の聲が聽えます。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
惱み拔いて居る樣子は、感情を隱すことの技巧をさへ知らない娘の顏に、雲の如く去來して、聲のない
嗚咽
(
をえつ
)
が、後から/\と、
處女
(
をとめ
)
の頬を洗ふ涙になつて居るのです。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
聲は
嗚咽
(
をえつ
)
に途ぎれて、二つの若い肉體は、避け難い死への本能的な反抗に絡みつくのです。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
嗚咽
(
をえつ
)
の中にこんな仕事をするのは、
馴
(
な
)
れた事
乍
(
なが
)
ら、あまり好い心持のものではありません。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
半分は
嗚咽
(
をえつ
)
に呑まれながら、お美乃は
辛
(
から
)
くも心持だけを言つて、子供のやうに泣くのです。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
涙のない
慟哭
(
どうこく
)
、——大きな
嗚咽
(
をえつ
)
を殘して、身もだえ乍ら
母屋
(
おもや
)
の方へ逃げて行くお信——若くて綺麗な後ろ姿を見送り乍ら、錢形平次は手の下しやうもなく呆然として居たのです。
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
左右から取
縋
(
すが
)
るのは、十六、七の可愛らしい娘——妹のお
鳥
(
とり
)
といふ、揉みくちやにされたやうな悲歎の姿と、許婚の新六郎といふ、
嗚咽
(
をえつ
)
に端正な顏を
引歪
(
ひきゆが
)
めた、二十二、三の男でした。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
振り仰いだ顏は涙に濡れて、不甲斐もなく
嗚咽
(
をえつ
)
さへ
喉
(
のど
)
にからみつくのです。
銭形平次捕物控:185 歩く死骸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
聲のない
嗚咽
(
をえつ
)
が喉に
絡
(
から
)
んで、長い
睫毛
(
まつげ
)
の底から、油然と涙が湧き上ります。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
喉佛をヒクヒクと鳴らして、
深刻
(
しんこく
)
な
嗚咽
(
をえつ
)
がこみ上げて來たのでした。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘を抱き上げて清右衞門は、聲のない
嗚咽
(
をえつ
)
に、顏が
歪
(
ゆが
)
みます。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
美女の唇は、聲のない
嗚咽
(
をえつ
)
に
歪
(
ゆが
)
みます。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“嗚咽”の意味
《名詞》
嗚 咽(おえつ)
声を詰まらせて泣くこと。すすり泣くこと。
(出典:Wiktionary)
嗚
漢検1級
部首:⼝
13画
咽
常用漢字
中学
部首:⼝
9画
“嗚”で始まる語句
嗚呼
嗚呼戯
嗚乎
嗚噎
嗚滸
嗚々然
嗚呼々々
嗚呼家先清休君