啄木たくぼく)” の例文
その最も著しい例は「悲しき玩具」の歌人石川啄木たくぼくが僕等に残した仕事である。これは恐らくは今日では言ひ古されてゐることであらう。
子規ほど病牀びやうしやう生活で苦しまなかつただけ、呑気ではなく、鋭いところが未だ消えずにゐる。石川啄木たくぼくなどでもやはり同じ径路を取つてゐる。
結核症 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
(もっともこの戯曲は退屈だったが)私は然しもっと少年時代からポオやボードレエルや啄木たくぼくなどを文学と同時に落伍者として愛しており
いずこへ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
明日の十二日は啄木たくぼくの記念日だと云うのだけれども、啄木が生れた日なのか亡くなった日なのか、それさえわたしは知らない。
田舎がえり (新字新仮名) / 林芙美子(著)
即ち人の知る如く、初期に於ける我が国の自然主義は、独歩どっぽ二葉亭ふたばてい藤村とうそん啄木たくぼく等によって代表され、詩的精神の極めて強調されたものであった。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
出発の朝、ぼくは向島むこうじまの古本屋で、啄木たくぼく歌集『悲しき玩具がんぐ』を買い、その扉紙とびらがみに、『はろばろと海をわたりて、亜米利加アメリカへ、ゆく朝。墨田すみだあたりにて求む』
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
ひまさえあると、だれかの家へ集まって、ゴールデンバットの空箱で作った啄木たくぼくカルタに夜をふかしたりした。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
「わがいだく思想はすべて金なきに因するごとし秋の風吹く」と、薄命詩人石川啄木たくぼくんでいます。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
謙信みずから死屍ししをこの地へうずめに来たとあれば、信玄もこころよく思い残りなき一戦をして見しょう。——道鬼、その戦いに、啄木たくぼくの戦法を試みんと思うがどうじゃ
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
札幌にのこる古典アメリカの「大望」の文化は、ここ旭川の明治の支柱に阻まれ、酷使され、やがてひそかな民心となって、啄木たくぼく有島武郎ありしまたけおの悲劇をはらんでゆくのである。
伊賀の服部はっとり三河の足助あすけ矢矧衆やはぎしゅうつわものどもが、色さまざまの旗標はたじるし立て、黄や緋縅や白檀びゃくだん磨きや、啄木たくぼく花革はなかわ、藤縅や、さては染め革や柑子こうじ革や、沢瀉おもだかなどの鎧を着、連銭葦毛れんぜんあしげ、虎月毛
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
二十一で本を書いて、それが石川啄木たくぼくという大天才の書いた本よりも、もっと上手で、それからまた十何冊だかの本を書いて、としは若いけれども、日本一の詩人、という事になっている。
ヴィヨンの妻 (新字新仮名) / 太宰治(著)
啄木たくぼく氏は
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
なぜなら古来多くの詩人が歌ったところは、究極に於ては或る一つの、いかにしても欲情の充たされない、ライフの胸底に響く孤独感を訴えるから。実に啄木たくぼくは歌って言う。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
船室に引籠ひきこもって啄木たくぼく歌集を読んだり、日向ひなたに出ては海をながめたり、そんな時を過していました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
私はこの啄木たくぼくの歌をっと思い浮べながら、郷愁のようなものを感じていた。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
丁度我が石川啄木たくぼくが、自分で詩人であることを自嘲じちょうしつつ、生涯慰められないで詩を書いていた。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)