わい)” の例文
何だか樣子が違ふわいと思つとると、平生とはまるで別人のやうな能辯で以つて、慷慨激越な演説をおつ始めたんぢや。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
愈々いよいよこれは役所だわい。まさか警察ではあるめえな。浮浪人が警察署へ飛び込むなんて余り気の利いた図じゃねえ」
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
西比利亜では犬を「エンヌ」といふさうで語音ごいんや似通つておる。或は日本犬と同種族であるまいかといふ説があるさうだが、如何さまもありさうな事だわい
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
思えば、此程の飢に、何も食べられなかったからこそ非道な心持になったので、灰を食べても雑作なくなおって仕舞ったわいと感じ、取った物も、元の通り戻したのです
「ますますいかん。機械が急に利かなくなったわい。……不思議なこともあればあるものじゃ……」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
塔の上の詮索の方が遙かに好い結果を来すのだわいと余は独り黙首うなづいて居たが、此の時堀の方から人々の異様に叫ぶ声が聞こえた、何の事だか勿論聞き分ける事は出来ぬけれど
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ところが、或る映画で、海岸地へ、一緒にロケーションに行って、そのうどんファン(ドン・ファンに非ず)ぶりを見るに及んで、なるほど、これは噂以上だわい! と感心した。
うどんのお化け (新字新仮名) / 古川緑波(著)
次に連続と云う字義をもう一遍吟味ぎんみしてみますと、前にも申す通り、ははあ連続しているわいと相互の区別ができるくらいに、連続しつつある意識は明暸めいりょうでなければならぬはずであります。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
... モツとねきへ寄せんかい、邪魔になつて洗やへんわい』『ねきへ寄つたら洗ふ処有らへん哩』『どだい、こんなつこい背中へ二人かかるんのが阿呆やい、足へ廻れ/\』でおとうと弟子が脚へ廻つた。
相撲の稽古 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
『甘くやつてるわい。』と多吉は先づ可笑く思つた。それは此処の学校の教師の周到な用意に対してであつた。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
荊軻けいかの賦した易水の詩、そいつを残して立ち去った乞食、鳥渡ちょっと心にかかるわい。荊軻は失敗したのだからな。そうだ刺客を心掛けて。秦の始皇帝を刺そうとして。
首頂戴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
人間様の恋路の笑止をかしいのは鍋小路どので初めて承知して毎日顔を見る度に俺は腹筋はらすぢれたわい
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
「うん、生意気なまいきなことをやりったわい」と大江山捜査課長は天の一角をにらんでいたが「よオし、誰か羽田航空港はねだこうくうこうに電話をして、すぐに飛行機であの気球を追駈けさせろッ」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして心では、対手あひてに横を向いてわらはれたやうな侮辱を感じた。「畜生! 矢つ張り年をつてるわい!」
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「とんだことに、永く手間どらせたわい」と博士はつぶやきながら後を再びふりむこうともせず、そろそろと研究所の方へ引きかえして行った。それは博士の退所時間三十分も過ぎていた。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
彼奴きゃつ騒々しい石塊いしころわい」とアフリカを踏破したスタンレーのような、大味な冒険心の持ち合わせはないが、騒々しい石塊の眼の前で、その雑音をふうする可く、喉仏の見える迄口を開け
小酒井不木氏スケッチ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして心では、對手に横を向いてわらはれたような侮辱を感じた。『畜生!矢つ張り年を老つてるわい!』
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「お国のために、やらなけりゃならんことになりましたわい。この磯崎は、鹿島灘の一番北の端を占め、しかも町全体が、ズーッと海の真中へ突き出ているから、監視哨には持ってこいの土地ですよ」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
……計る計ると思ったが、その実俺の方が計られたわい
天主閣の音 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
慣れた路ですけれども、足許しか見えないもんだから何だか知らない路に迷つてゐるやうでしてなあ。いや、五里霧中とは昔の人はよく言つたものだと思ひましたわい
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「三ヶ所、作れというおたっしでナ、岬に一つ、磯崎いそざき神社の林の中に一つ、それから磯合寄いそあいよりに一つ、と都合三ヶ所、作りましたよ。作ったのはよいが、監視哨に立つ人が、足りないので、弱っていますわい
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と私は何氣なく云つたが、ハハア、此女が、存外眞面目な顏をしてるわいと思つたのは、ヤレ/\、これでも一種の姿態しなを作つて見せる積りだつたかと氣が附くと、私は吹出したくなつて來た。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
よしや骸骨であるにしても、これは又サテ/\見すぼらしい骸骨であるわい
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
よしや骸骨であるにしても、これは又サテ/\見すぼらしい骸骨であるわい
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
と私は何気なく云つたが、ハハア、此女が、存外真面目な顔をしてるわいと思つたのは、ヤレ/\、これでも一種の姿態しなを作つて見せる積りだつたかと気が付くと、私は吹出したくなつて来た。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『はははは、遺失おとして了ひましたわい。』
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)