)” の例文
ただし世法は慈仁のみでは成立たぬ、仁の向側と云っては少しおかしいが、義というものが立てられていて、義は利のなりとある。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さればとなく、昼となく、笛、太鼓、鼓などの、舞囃子まいばやしの音にして、うたいの声起り、深更時ならぬに琴、琵琶びわなどひびきかすかに、金沢の寝耳に達する事あり。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうしましょう」とすすり泣いた。宗助は再度の打撃を男らしく受けた。冷たい肉が灰になって、その灰がまた黒い土にするまで、一口も愚痴ぐちらしい言葉は出さなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
建文帝の事、得る有る無し。しかれども諸番国しょばんこくの使者したがって朝見し、各々おのおのその方物ほうぶつこうす。三仏斉国さんぶつせいこく酋長しゅうちょうとりことして献ず。帝おおいよろこぶ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
貴郎あなたもお立ちなさいまし、狂人きちがいですわ。」と、さも侮り軽んじたごとき調子で落しめて言うのにして
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
櫓声ろせいして高らかに唱連うたいつれて、越中まいを満載したる五六そうの船はこぎ寄せたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これより建文の事に関せず、もはら国威を揚げしめんとして、再三いだす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)