あれ)” の例文
また詔らしめたまはく、「然らば、今還り下りて、墨江の中つ王を殺して、のぼり來ませ。その時に、あれかならず語らはむ」
万葉歌の中にはスミレが出ているから、歌人かじんはこれに関心を持っていたことがわかる。すなわちその歌は、「春のにすみれみにとあれぞ、をなつかしみ一夜ひとよ宿にける」
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「児ろあれ紐解く」即ち、可哀い娘とおれとがお互に着物の紐を解いて寝る、という複雑なことを入れてあり、それが一首の眼目なのだから、調子がつまってなだらかにびていない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
いにしえのますらたけをが渡りけん小田の渡りをあれも渡りつ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
人皆か あれのみやしかる
日本の美 (新字新仮名) / 中井正一(著)
ここに答へてのりたまはく、「あれまづ問はえたれば、吾まづ名告りせむ。まが事も一言、善事よごとも一言、言離ことさかの神、葛城かづらき一言主ひとことぬしの大神なり」
「天地の神なきものにあらばこそふ妹に逢はずしにせめ」(巻十五・三七四〇)、「逢はむ日をその日と知らず常闇とこやみにいづれの日まであれ恋ひ居らむ」(同・三七四二)などにあるように
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
人なみに あれも作るを
日本の美 (新字新仮名) / 中井正一(著)
その神のりたまはく、「みまへをよく治めばあれよくともどもに相作り成さむ。もし然あらずは、國成りがたけむ」
橘の古婆こばのはなりが思ふなむ心うつくしいであれは行かな (同・三四九六)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)