“叱咜(しつた)” の例文
「おのれ、長二ツ」と篠田は我と我が心を大喝(だいかつ)叱咜(しつた)して、嚇(かく)とばかり眼(まなこ)を開けり、重畳(ちようでふ)たる灰色の雲破れて、武甲(ぶかふ)の高根、雪に輝く
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
後から續くのは、八五郎自慢の叱咜(しつた)です。大きい影は、この形勢を見ると、小さい影を突放して、キラリと一刀を拔きました。
現(げ)に類想、個想、小天地想の別だに知らで、批評の業に從ふ輩(ともがら)は、かく叱咜(しつた)せられむも可なるべし。然れども彼三派に優劣なしと見よといはばいかに。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
宇内(うだい)を睥睨(へいげい)し、日月を叱咜(しつた)せし、古来の英雄何すれぞ墳墓の前に弱兎(じやくと)の如くなる。誰か不朽といふ字を字書の中に置きて、而(しか)して世の俗眼者流をして縦(ほしいまゝ)に流用せしめたる。
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
然しそれらの叱咜(しつた)それらの激勵、それらの同情は果して何れだけその不幸なる青年の境遇を變へてくれるだらうか。のみならず私は又次のやうな事も考へなければならなかつた。
歌のいろ/\ (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
悠然(いうぜん)と車上(しやじよう)に搆(かま)へ込(こ)んで四方(しはう)を睥睨(へいげい)しつゝ駆(か)けさせる時は往来(わうらい)の奴(やつ)が邪魔(じやま)でならない右へ避(よ)け左へ避(さ)け、ひよろひよろもので往来(わうらい)を叱咜(しつた)されつゝ歩く時は車上(しやじよう)の奴が(やつ)が癇癪(かんしやく)でならない。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
八五郎の叱咜(しつた)と、刄(やいば)と十手の相搏(あひう)つ音が、明るい眞晝の空氣に、ジーンと響きます。平次を先頭に皆んな飛んで行きました。
お越は絹を裂(さ)くやうな叱咜(しつた)と共に、二階の奧の一と間、有明の光のほのかに搖れる障子をパツと、蹴開(けあ)けたのです。
壇の中央、焔の眞ん中に立ち上がつた東海坊は、高々と數珠を打振り/\、虎髮(こはつ)をなびかせて叱咜(しつた)するのです。
叱咜(しつた)する平次、一座は思はず逃腰になつて、この不思議なクライマツクスを見詰めて居ります。
平次の叱咜(しつた)につれて、八五郎の身體は獵犬のやうに動きます。幸ひの月夜、疾風(しつぷう)の如く逃げ廻る曲者は、次第に逃げ路を失つて、平次と八五郎の狹めて行く輪の中に入ります。
銭形平次捕物控:124 唖娘 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
物凄い呪(のろひ)の叱咜(しつた)を浴びて、あやめは暴風の前の草花のやうに大地に崩折れました。
曲者は一刀を脇構(わきがま)へに叱咜(しつた)しました。恐ろしく精悍(せいかん)な感じのする中年男です。
左陣は叱咜(しつた)します。その後ろから心配さうに覗くのはガラツ八の顏です。
叱咜(しつた)するのは、ツイ今しがた浪宅の六疊で聲のした親分の平次です。
その時、家の外では、八五郎の叱咜(しつた)が夜空に響いて高鳴ります。
平次はそれを闇の中に迎へて叱咜(しつた)します。
赤井左門の叱咜(しつた)を的面(まとも)に受けて