千金せんきん)” の例文
「ドッコイドッコイ……どうでえこの腹部ポッポのヤワヤワふっくりとした事は……トテモ千金せんきんこてえられねえや」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
きみ學問がくもんみち寢食しんしよくわすたまふは、至極しごく結構けつこうにて、とやかく申上まをしあげむことばもなくさふらへども御心遣おんこゝろやりすべさふらはでは、あまりに御氣おきつまりて千金せんきん御身おんみにさはりとも相成あひならむ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またこの不同不二ふどうふじ乾坤けんこん建立こんりゅうし得るの点において、我利私慾がりしよく覊絆きはん掃蕩そうとうするの点において、——千金せんきんの子よりも、万乗ばんじょうの君よりも、あらゆる俗界の寵児ちょうじよりも幸福である。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ひとすぢを千金せんきんに買ふわうもあれ七尺みどり秋のおち髪
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
作千金墨河 千金せんきん砕作さいさくして墨河ぼくが
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
癩坊主かったいぼうずが、ねだりごとうけごうて、千金せんきんかんざしてられた。其の心操こころばえに感じて、些細ささいながら、礼心れいごころ内証ないしょうの事を申す。貴女あなた雨乞あまごいをなさるがい。——てんの時、の利、ひとの和、まさしく時節じせつぢや。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
千金敝帚護持堅 千金せんきん敝帚へいそう護持ごじすることかた
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)