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効無
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かひな
手を出しかねたる二人を
睨廻して、蒲田はなかなか下に貫一の
悶ゆるにも劣らず、
独り
業を
沸して、
効無き
地鞴を踏みてぞゐたる。
余の
他愛なさに、
効無い
殺生は
留にしやう、と
発心をした
晩、これが
思切りの
網を
引くと、
一面城ヶ
沼の
水を
飜して、
大四手が
張裂けるばかり
縦に
成つて、ざつと
両隅から
高く
星の
空へ
影が
映して
宮はやにはに
蹶起きて、立たんと為れば脚の
痛に
脆くも倒れて
効無きを、
漸く
這寄りて貫一の脚に
縋付き、声と涙とを争ひて
さては
効無き
己に
憤を
作して、益す休まず
狂呼すれば、彼の
吭は終に破れて、
汨然として
一涌の
鮮紅を
嘔出せり。