効無かひな)” の例文
手を出しかねたる二人を睨廻ねめまはして、蒲田はなかなか下に貫一のもだゆるにも劣らず、ひとごうにやして、効無かひな地鞴ぢただらを踏みてぞゐたる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あまり他愛たあいなさに、効無かひな殺生せつしやうやめにしやう、と発心ほつしんをしたばん、これが思切おもひきりのあみくと、一面いちめんじやうぬまみづひるがへして、大四手おほよつで張裂はりさけるばかりたてつて、ざつと両隅りやうすみからたかほしそらかげして
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宮はやにはに蹶起はねおきて、立たんと為れば脚のいたみもろくも倒れて効無かひなきを、やうや這寄はひよりて貫一の脚に縋付すがりつき、声と涙とを争ひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さては効無かひなおのれいかりして、益す休まず狂呼きようこすれば、彼ののんどは終に破れて、汨然こつぜんとして一涌いちゆう鮮紅せんこう嘔出はきいだせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)