出御しゅつぎょ)” の例文
父ぎみの今朝のお顔から見て、吉瑞きちずいのように思われたらしい。——はや出御しゅつぎょとあって、仮屋かりやのうちの公卿たちも、あらまし姿を揃えていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
待つこと一時間以上、その間に将軍は謁見室に出御しゅつぎょがある。一行のうちの使節のみが導かれて御前に出る時、一同大声で
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
法王の出御しゅつぎょ 法王が内殿から御出御になります。前案内としてズーニェル・チェンモ(侍従長)が先に出て参ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
『あの牢屋ろうやの中で靴下をつくろったという女王は、この上なくきらびやかな儀式や出御しゅつぎょの時よりも、かえってその瞬間の方が、真の女王らしく見えたに相違ない』
陛下が御玄関へ出御しゅつぎょあって御覧の出来る所、すなわち正門内よりほかあるまいということになった。
さらに主上におかせられては、庶民訴訟出来の時、下情かじょうかみに達せざるあらば、公平裁断を欠くものあらんと、記録所を置かれて出御しゅつぎょましまし、直きに訴えを聞こしめす。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たつこく頃より馬場へ出御しゅつぎょ、大場重玄をまん中に立たせ、清八、鷹をと御意ありしかば、清八はここぞと富士司を放つに、鷹はたちまち真一文字まいちもんじに重玄の天額をかいつかみぬ。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
〃 鈴の音——古代イランでは、帝王の出御しゅつぎょするときに鈴を振り、太鼓たいこを鳴らす習慣があった。
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
先日紹介をしたごとく依然としてがーがー、げーげーを持続している。やがて頭を分け終って、西洋手拭てぬぐいを肩へかけて、茶の間へ出御しゅつぎょになると、超然として長火鉢の横に座を占めた。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金屏きんびょう高御座たかみくらあり出御しゅつぎょまだ
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
景陽宮の深殿しんでんは、ここかがや祗候しこうだった。出御しゅつぎょ金鈴きんれいがつたわると、ほどなく声蹕せいひつむちを告げること三たび、珠簾しゅれんサラサラと捲き上がって
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ネーチュンの出御しゅつぎょ 釈迦堂の内から、例の気狂いのごとくになって居るネーチュン(神下かみおろし)がチベット第一の晴れの金襴きんらん錦繍きんしゅうの服を着け、頭にも同様のかんむりいただ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
新帝も南殿に出御しゅつぎょして各国代表者の御挨拶ごあいさつを受けさせられる、公使らの随行員にまで謁見を許される、その間には楽人の奏楽まである、このうわさが人の口から口へと伝わった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ああ、そのむかし帝王が出御しゅつぎょの玉座
ルバイヤート (新字新仮名) / オマル・ハイヤーム(著)
出御しゅつぎょいま二千六百年天高し
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
まず義貞義助以下、新田一族の者をこれに並べ、そのこうべねてから、出御しゅつぎょのおふれ出しをねがいましょう。……いざまず、貞満の首からさきにお斬りくだされい
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行宮あんぐう延暦寺根本中堂えんりゃくじこんぽんちゅうどうのうちでは、かねてからのおしたくだったが、今暁はもう暗いうちからの物騒ものざわめきで、おめしになる鳳輦ほうれんも、きざはしの下の轅台ながえだいにすえられ、みかどの出御しゅつぎょ
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天子は、紫宸殿ししいでん出御しゅつぎょして、この日、公卿百官の朝賀をよみせられた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、将軍自身の出御しゅつぎょがある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)