“出先(でさき)” の例文
聞くに今日商賣の出先(でさき)神田紺屋町の裏(うら)にて職人衆が酒を飮て居ながら斯樣々々申されしが私には少(すこし)も解(わか)らず何の事なるやと問(とふ)に長兵衞は少し笑ひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「悠長(ゆうちょう)なやつ、かような出先(でさき)にたって、なにを述懐(じゅっかい)めいたことをぬかしおるか。それがなんといたしたのだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼(かれ)は其(その)手先(てさき)の自由(じいう)を失(うしな)うた時(とき)自棄(やけ)の心(こゝろ)から彼(かれ)の風呂敷包(ふろしきづゝみ)を解(と)いた。野田(のだ)に居(ゐ)た頃(ころ)主人(しゆじん)や又(また)は主人(しゆじん)の用(よう)での出先(でさき)から貰(もら)つた幾筋(いくすぢ)の手拭(てぬぐひ)を繼(つ)ぎ合(あは)せて拵(こしら)へた浴衣(ゆかた)を出(だ)した。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
代助は出先(でさき)も尋ねずに、すぐ引返して、電車へ乗つて、本郷迄来(き)て、本郷から又神田へ乗り換えて、そこで降りて、あるビヤー、ホールへ這入つて、麦酒(ビール)をぐい/\飲んだ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
元これ愛嬌商売なれば第一に世間に従つて行かねばならぬなり。お客に従はねばならぬなり。出先(でさき)の茶屋の女中に従はねばならぬなり。足を洗つて素人となる。則(すなわち)旦那に従はねばならぬなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「どうしてどうして。ほんとうの合戦(かっせん)はこれから四日目だ。なにしろいそぎの出先(でさき)、ごめん——」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勘次(かんじ)は更(さら)に出先(でさき)のことをお品(しな)へ聞(き)かせた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)