凝議ぎょうぎ)” の例文
車のうちで、俊基としもとは居眠っていたらしい。おそらく、一昨夜来の宮廷では、彼のみならず、みかどをめぐって、不眠の凝議ぎょうぎだったであろう。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羊のむれは羊の群らしくそんなことに関係なく、しじゅう汽車に驚いてかたまってみたり、池に直面して凝議ぎょうぎしたりなんかばっかりしてる。
診察室の装飾に就いて家具屋と凝議ぎょうぎをしていた私の姉と、妻の松子とは、顔を見合わせて彼女の勇敢さに感心したという。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
昨夜、おそくまで凝議ぎょうぎした結果、向う側の断崖の側面に口をあけている暗道までたどりつくには、ナイフの刃のような、この危険な虹の橋を渡るほかに方法がないということになった。
地底獣国 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そこで三人凝議ぎょうぎの末いよいよ復讐ということになり、小銀の部下の女兵を加えて総勢一千の大軍をひそかに巧妙に繰り出して黒姫山を包囲させたのは実に昨夜ゆうべのことであって、一日だけ人馬を休息させ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しばらく凝議ぎょうぎしていたが、信玄は一部隊を残してそれへの抑えとし、本軍以下の大部隊は、予定どおり三方ヶ原を横ぎって進軍をつづけた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長の滞在している土豪の家に集まって、その夜家臣たちは、ひたいをあつめて凝議ぎょうぎしたが、なかなかはなしはまとまらなかった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
疲れているので、一同はそれから一すいの休息をとって、夜に入ってから、また何か重大な凝議ぎょうぎ一間ひとまめ切っていました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで一同は、作戦をこらすために、かたすみへって凝議ぎょうぎをしたうえ、おのおの国籍こくせき本名ほんみょうをあからさまに記入きにゅうしてやった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何のことはない、お芳にも意思はあるだろうに、立会人の凝議ぎょうぎは、彼女の恋までも、八寸玉の中に入れてしまった。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何事か凝議ぎょうぎしている動揺が感じられる。するとやがて、家来に門をひらかせて、静かに立ちあらわれた女性がある。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうど、役宅の一間ひとまでは、奉行の榊原主計頭さかきばらかずえのかみ、与力の東儀三郎兵衛、そして、羅門塔十郎の三名が、ひたいをよせて、何事か凝議ぎょうぎしているところだった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
、見せてやりとうござりまする。……いや、その方々も、今宵こよいは、寺井玄渓の宅に集って、今頃は、凝議ぎょうぎの最中、吾々はそちらへ参ります故、ではここで
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこでは三人が、弦之丞の所在をさぐる凝議ぎょうぎがてら、しきりと銚子の数をやしているが、誰も、宅助の存在を認めて、一杯つかわそうとはいってくれない。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふすま、天井などの美術的意匠いしょうには、狩野永徳かのうえいとくが選ばれ、永徳はひとり自己の画派に偏せず、各派の名匠と凝議ぎょうぎして、畢生ひっせいの傑作をここにいて、久しい戦乱のため
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜に入ると秀吉は、森勘八高政に毛利方の監視を命じ、また黒田官兵衛その他と何事か凝議ぎょうぎし、終ると、小姓一同にも引き揚げを伝え、急速に陣払いを準備し出した。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御岳みたけの人々は、それが武田家たけだけ御曹子おんぞうしとは、まったく知らずにご神縄をくだしたのであったらしい。神官たちはにわかに凝議ぎょうぎして、その善後策ぜんごさく沈鬱ちんうつな空気をつくった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義昭は奥にかくれて、日野、高岡などというよしみのある公卿くげと、ひたいをあつめて、凝議ぎょうぎしていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
髪の毛の白さでもすぐその人とわかる斎藤内蔵助利三さいとうくらのすけとしみつが、諸将と膝を寄せ合って、軍役帳ぐんえきちょうや書類をくりひろげ、何か凝議ぎょうぎしていたが、やがて彼一名、光秀の前に来てたずねた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、一群ひとむれ一群が、何やら首を寄せて凝議ぎょうぎしていたが、或る手筈が整ったものとみえ
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いかにして、琦君きくんを排し、劉琮りゅうそうの君を立てるか」を、日夜、ひそひそ凝議ぎょうぎしていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
形相ぎょうそうこわばらして、またそれを戸狩の者や、四人の藩士が息ぐるしく取り囲んで、いよいよ、果し合いの凝議ぎょうぎをしはじめた時分になると、真っ蒼な顔を上げて、自分の運命についてもその人々の話に
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜、奥では凝議ぎょうぎ
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)