こつ)” の例文
もやが分れて、海面うなづらこつとしてそびえ立った、いわつづきの見上ぐる上。草蒸す頂に人ありて、目の下に声を懸けた、樵夫きこりと覚しき一個ひとり親仁おやじ
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
両主人公は今こつとして左右よりこの舞台に上り来れり。彼等は何を語らむとするか。如何なる新色彩を脚色の上に施さむとするか、看客は汗手かんしゆして二人の一挙一動に凝視せり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
百二十年以前いぜんたるところの人ありとつとところの文珠岩は即ち之れなり、しゆみな拍手喝釆かつさいして探検者たんけんしや一行の大発見をよろこただちに丘下にいたりてあほぎ見れば、丘のたかさ百尺、天然の奇岩きがんこつとして其頂上に
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
……抱妓かかえが五人とわけが二人、雛妓おしゃくが二人、それと台所とちびの同勢、蜀山しょくざんこつとして阿房宮、富士の霞に日の出のいきおい紅白粉べにおしろいが小溝にあふれて、羽目から友染がはみ出すばかり、芳町よしちょうぜん住居すまい
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
秋天一碧の下にこつとして聳え立つ雪白の大校舍である。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
秋天一碧の下にこつとして聳え立つ雪白の大校舎である。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)