傍道わきみち)” の例文
どこから傍道わきみちれたのか忘れちまったから、再び「夜の酒場、暗いLA・TOTO」へ引っ返して出直すとして——で、つまりその
ところでここでもう一つ傍道わきみちに這入って説明しておかなければならぬ事は、人間が「第六感」を感ずる場合に三種類ある事である。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いよいよ決心をして先月……十月……再び水戸屋を訪ねました時、自動車タキシイ杜戸もりと、大くずれ、秋谷を越えて、傍道わきみちへかかる。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一体、景岡秀三郎という青年は……チョット傍道わきみちになりますけれど……少年の時から、極く内気な性質たちでした。
足の裏 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
こう言って坊主沢を左に切れて、傍道わきみちへ入りました。少年もまた、同じようにしないわけにはゆきません。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ふざけないで歩くこと、けっして傍道わきみちをしないこと、馬や車をよけること、五人のうちで一ばん小さいエチエンヌのそばを決してはなれないこと、そういうお約束やくそくをしてたのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
いや、思わずも話が傍道わきみちに入りましたが、さて、人工心臓の発明にとりかかって見ますと、学生時代に想像したほど、その完成は容易なものではないということがわかりました。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
商売往来にもない稼業だが、この湯灌場買いというものはたいそう利益のあった傍道わきみちで、寺のほうでは無代ただでも持って行ってもらいたいくらいなんだから、いくらか置けばよろこんで下げてくれる。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
話が又、少々傍道わきみちへ這入るようであるが、しかしここでちょっと脱線を許してもらわないと、話の筋道が無意味になりそうだから止むを得ない。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そもそも、このペテング遊びなるものは——となると第一、傍道わきみちれるし、それに、どうもすこし説明に困るから、まあ、ここじゃあしとこう。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
たれでもそう申します、あの森から三里ばかり傍道わきみちへ入りました処に大滝があるのでございます、それはそれは日本一だそうですが、みちけわしゅうござんすので
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
山谷さんや立場たてばで休んで犬目いぬめへ向けて歩ませた時分に、傍道わきみちから不意に姿を現わした旅人がありました。お松は早くもその旅人ががんりきの百蔵であることに気がついて、ヒヤリとしました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だから、そんなものに出会うのを恐れた彼はこの時にも、わざと傍道わきみちへ外れて、彼の家の背後の山蔭に盛上った鎮守の森の中へフラフラと歩み入った。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いえたれでもまをしますもりから三ばかり傍道わきみちはいりましたところ大瀧おほたきがあるのでございます、れは/\日本一にツぽんいちださうですがみちけはしうござんすので、十にん一人ひとりまゐつたものはございません。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)