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佶
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きっ
ふりがな文庫
“
佶
(
きっ
)” の例文
と、何処でかキャンキャンと二声三声犬の啼声がする……
佶
(
きっ
)
と耳を
引立
(
ひった
)
って見たが、もう
其切
(
それきり
)
で聞えない。隣町あたりで
凍
(
かじ
)
けたような物売の声がする。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
二匹は思はず左右に分れ、落ちたるものを
佶
(
きっ
)
と見れば、今しも二匹が
噂
(
うわさ
)
したる、かの阿駒なりけるが。なにとかしたりけん、口より血
夥
(
おびただ
)
しく流れ
出
(
いず
)
るに。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
余「では其の人の住所姓名を聞かせて下さい」穴川「
佶
(
きっ
)
と其の人の所へ行くと約束しますか」余「します」穴川
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「ま、ま、待ちおれ
汝
(
うぬ
)
。」と
摺下
(
ずりさが
)
りたる袴の
裾
(
すそ
)
踏
(
ふみ
)
しだき、どさくさと追来る間に、
婦人
(
おんな
)
は綾子の書斎へ
推込
(
おしこ
)
み、火桶の前に
突立
(
つった
)
てば、振返る夫人の顔と、眼を見合せて
佶
(
きっ
)
となりぬ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
するとお勢は
佶
(
きっ
)
と振向いて、
可畏
(
こわ
)
らしい眼付をして文三を
睨
(
ね
)
め出した。その
容子
(
ようす
)
が常で無いから、お鍋はふと笑い
罷
(
や
)
んでもッけな顔をする。文三は色を失ッた……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
黄金丸はいと
不憫
(
ふびん
)
に思ひ、
件
(
くだん
)
の雌鼠を
小脇
(
こわき
)
に
蔽
(
かば
)
ひ、そも何者に追はれしにやと、
彼方
(
かなた
)
を
佶
(
きっ
)
ト見やれば、
破
(
や
)
れたる板戸の陰に身を忍ばせて、
此方
(
こなた
)
を
窺
(
うかが
)
ふ一匹の黒猫あり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
余は彼を
佶
(
きっ
)
と見詰て
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
彼方
(
あなた
)
の山を
佶
(
きっ
)
と
睨
(
にら
)
めつ、「さては今宵彼の洞にて、金眸はじめ配下の獣
們
(
ら
)
、
酒宴
(
さかもり
)
なして
戯
(
たわぶ
)
れゐるとや。時節到来今宵こそ。宿願成就する時なれ。
阿那
(
あな
)
喜ばしやうれしや」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
が、若い女は何処となく好くて、私がうッかり
面
(
かお
)
を視ている所を、不意に
其面
(
そのかお
)
が
此方
(
こちら
)
を向いたのだから、私は驚いた。驚いて又
俯向
(
うつむ
)
いて、膝前一尺通りの処を
佶
(
きっ
)
と視据えた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そのお政の
半面
(
よこがお
)
を文三は
畏
(
こわ
)
らしい顔をして
佶
(
きっ
)
と
睨付
(
ねめつ
)
け、何事をか言わんとしたが……気を取直して
莞爾
(
にっこり
)
微笑した
積
(
つもり
)
でも顔へ
顕
(
あら
)
われたところは苦笑い、
震声
(
ふるいごえ
)
とも附かず
笑声
(
わらいごえ
)
とも附かぬ声で
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
菰
(
こも
)
の下から犬の尻尾とか足とかが見えていたというけれど、私が其時
佶
(
きっ
)
と目を据えて視たのでは、唯車が躍って
菰
(
こも
)
が魂の有るようにゆさゆさと
揺
(
ゆれ
)
るのが見えたばかりで、
他
(
ほか
)
には何も見えなかった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
佶
漢検1級
部首:⼈
8画
“佶”を含む語句
佶屈
佶屈聱牙
佶倔
佶倔聱牙
元佶
北副佶摩
棠辺元佶
浅佶