了解わか)” の例文
何とも了解わからぬやうな太甚はなはだしい田舎訛ゐなかなまりで、互に何事をか声高く語り合ふので、他の学生等はいづれも腹を抱へて笑はぬものは無い。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
聖書は来世の希望と恐怖とを背景として読まなければ了解わからない、聖書を単に道徳の書と見て其言辞ことばは意味を為さない、聖書は旧約と新約とに分れて神の約束の書である
平常つねは道理がよく了解わかる人では無いか、氣を靜めて考へ直して呉れ、植村の事は今更取かへされぬ事であるから、跡でも懇にともらつて遣れば、お前が手づから香花かうはなでも手向れば
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
元来老先生といえども人並の性情を有っておるから了解わかることは能く了解る人である。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
追ってパラメントヒルへ出掛けた事といい、私には何が何だか薩張さっぱ了解わかりません
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
菩提樹の実の珠数ずゞ繰りながら十兵衞が埓なき述懐に耳を傾け居られし上人、十兵衞が頭を下ぐるを制しとゞめて、了解わかりました、能く合点が行きました、あゝ殊勝な心掛を持つて居らるゝ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
平常つねは道理がよく了解わかる人では無いか、気を静めて考へ直してくれ、植村の事は今更取かへされぬ事であるから、跡でもねんごろともらつて遣れば、お前が手づから香花かうはなでも手向たむければ
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このをとこくらべると流石さすがのブリダアの市人まちびと餘程よほど勤勉きんべんたみはんければならない、にしろラクダルのえら證據しようこは『怠惰屋なまけや』といふ一個ひとつ屋號やがうつくつてしまつたのでも了解わかる、綉工ぬひはくやとか珈琲屋かうひいやとか
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
門口かどぐちまで送り、母なる人が一寸ちょっと上って茶を飲めと勧めたを辞し自宅へと帰路にきましたが、或むずかしなぞをかけられ、それを解くと自分の運命の悲痛がことごと了解わかりでもするといったような心持がして
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その先は詳わしく言わないでも了解わかりましょう。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)