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三疊
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さんでふ
驚破と
言へば、
駈出すばかりに、
障子も
門も
半ばあけたまゝで。……
框の
狹い
三疊に、
件の
提灯に
縋つた、つい
鼻の
先は、
町も
道も
大きな
穴のやうに
皆暗い。
一度内へ
入つて、
神棚と、せめて、
一間だけもと、
玄關の
三疊の
土を
拂つた
家内が、
又此の
野天へ
逃戻つた。
私たちばかりでない。——
皆もう
半ば
自棄に
成つた。
敷合せ
疊三疊、
丁度座布團とともに、その
形だけ、ばさ/\の
煤になつて、うづたかく
重なつた。
下も
煤だらけ、
水びたしの
中に
畏つて、
吹きつける
雪風の
不安さに、
外へ
出る
勇氣はない。