三歳みッつ)” の例文
これわれはな三歳みッつの時死んだおふくろが己を枕許へ呼んで、兄いやお前はもう立派な人になったが、半治はまだ歳がいかねえから
この時、額から垂々たらたらと血が流れたが、それには構わないで、ほとんど本能的に、胸へ抱いた年弱の三歳みッつの子を両手で抱えた。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しし? ——猪がれ申したか。たしかわたしの方が三歳みッつ上じゃったの、浪どん。昔から元気のよかかたじゃったがの」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
やっぱり、夢ににぎやかなところを見るようではござんすまいか。二歳ふたつ三歳みッつぐらいの時に、乳母うばの背中から見ました、祭礼おまつりの町のようにも思われます。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
左の手を出して……おふくろ二歳ふたつ三歳みッつの子供を愛するようにお菊の肩の処へ手をかけて、お菊の顔を視詰みつめて居りますから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幇間たいこもち三八の腰障子のって有る台所に立ちましたのは、奧州屋の女房おふみ、三歳みッつに成る子をおぶいまして、七歳なゝつに成るおとよという子に手を引かれて居ります。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ええ、もう、年弱としよわ三歳みッつになりますが、ええ、もう、はや——ああ、何、お茶一つ上げんかい。」
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
滝太郎が生れて三歳みッつになった頃から、年紀としはまだ二十四であった、若い母親が、にわかに田舎ものは嫌いだ、虫が好かぬ、一所の内に居ると頭痛がすると言い出して
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
段々種を探って見ると詰らぬもので、の浄瑠璃で名高いお染久松のごときも、実説では久松が十五、お染が三歳みッつであったというから、うしても浮気の出来よう道理がござりませぬ。
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
越えて三歳みッつになる時、母親は蠣殻町かきがらちょう贔屓客ひいききゃくに、連児つれこは承知の上落籍ひかされて、浜町に妾宅を構えると、二年が間、蝶吉は、乳母おんば日傘で、かあちゃん、かあちゃんと言えるようになった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
梅「だって三歳みッつの時から育てゝ、ちがった子でも可愛いと思って目を掛けましたから、の子も本当の親の様にするから、私も何うか助けとうございますわ、あれまア何うでもするから待って下さいよ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……唄の声がこの月に、白玉しらたまの露をつないで、おどろの草もあやを織って、目にあおく映ったと思え。……伴侶つれが非常に感に打たれた。——山沢には三歳みッつになる小児がある。……里心が出て堪えられん。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふみ「はい男でございまして、三歳みッつで新太郎と申します」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なお水菓子が好きだと云う、三歳みッつになる男のの有ることを、さきくだりにちょっと言ったが、これは特に断って置く必要がある、捨児すてごである。夜半よなかに我が軒に棄てられたのを、拾い取って育てている。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「桃栗三年、三歳みッつだよ、ははは。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)