一合いちごう)” の例文
自分は五しゃく飲むのがきまりであるが、この日は一合いちごう傾けた。この勢いで帰って三角を勉強しようという意気込であった。
(新字新仮名) / 正岡子規(著)
「煙草の煙をみしめるのは新手ですね。もっともあっしなんかは、猫が水をむ時のように、酒をめて呑むてをかんげえた。一合いちごうあると請合うけあい一ときは楽しめますぜ」
お杉がかどに立って米を乞うた時に、或人が一合いちごうばかりの米を与えて、冗談半分にう云った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
途中何とう処か知らぬが、左側の茶店ちゃみせで、一合いちごう十四文の酒を二合飲んで、大きなたけのこの煮たのを一皿と、飯を四、五杯くって、れからグン/″\歩いて、今の神戸あたりは先だかあとだか
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
どちらが斬ったか斬られたか、刀と刀は火花を散らして、一合いちごうすれば、両人の身は四五間離れて飛びます。どちらにも怪我けがはなかった。すかさず壮士は再び上段の構えでジリジリと寄る。
じつは、少年せうねんともに、たゞ一口ひとくちに、堪難たえがた空腹くうふく滿みたしたきは山々やま/\だが、てよ、いまこのちいさいうをを、周章あはてゝたいらげたとてなにになる、農夫のうふ如何いかうゑても、一合いちごうむぎはずにいて一年いちねんはかりごとをする