-
トップ
>
-
ほふえ
間もなく
這入つて
來たのは、一
人の
背の
高い
僧であつた。
垢つき
弊れた
法衣を
着て、
長く
伸びた
髮を、
眉の
上で
切つてゐる。
目に
被さつてうるさくなるまで
打ち
遣つて
置いたものと
見える。
ほんのりとして、
床しく
薄いが、
夜などは
灯に
御目ざしも
黒く
清しく、
法衣の
色がさま/″\と
在すが
如く
幽に
濃い。
立袈裟は
黒の
地に、
毛よりも
細く
斜に
置いた、
切込みの
黄金が
晃々と
輝く。