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			ふぢむら
		
		  
	
	
	
	
	
		
		
		
			たつた今、
藤村は、山のいつもの音響に出遇つて、思はず
 
		
			親と
親との
許嫁でも、
十年近く
雙方不沙汰と
成ると、
一寸樣子が
分り
兼る。
況や
叔父と
甥とで
腰掛けた
團子屋であるから、
本郷に
住んで
藤村の
買物をするやうな
譯にはゆかぬ。
 
			
		 
		
			さるほどに、
美人たちの
此の
寄附によつて、づらりと
暖いものが
並んで、
金屏風もキラ/\と
輝き
渡り、
燒のりをたて
引いて
心配して
居た、
藤村の
優しい
妹分も、
嬉しさうな
顏をした。