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ふじいう
この
田舍は
水に
不自由なところでした。
谷の
底の
方まで
行けば
山の
間を
流れて
來る
谷川がなくもありませんが、
人家の
近くにはそれもありませんでした。
病院などに
入るものは、
皆病人や
百姓共だから、
其位な
不自由は
何でも
無いことである、
自家にゐたならば、
猶更不自由を
爲ねばなるまいとか、
地方自治體の
補助もなくて
勿躰なや
此の
子といふ
可愛きもあり、
此子が
爲我が
爲不自由あらせじ
憂き
事のなかれ、
少しは
餘裕もあれかしとて
朝は
人より
早く
起き、
夜は
此通り
更けての
霜に
寒さを
堪へて