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びやうか
院長アンドレイ、エヒミチは
疾から
町の
病家を
有たぬのを、
却つて
可い
幸に、
誰も
自分の
邪魔をするものは
無いと
云ふ
考で、
家に
歸ると
直ぐ
書齋に
入り、
讀む
書物の
澤山あるので
三日の
間城内へ
詰め
切りでございまして、
漸う
歸宅いたしますと
町方の
病家から、
見舞の
催促が
矢を
射るやうで、
其處をどうにか
切り
拔けてまゐりました。
考へ又元の水口より立出
何喰ぬ
顏にて我が家を
指て立歸りたり
道庵は此日
病家にて
手間取
漸々夜亥刻近き頃歸り來り
灯を
點して
四邊を見るに座敷を取
散しあれば
不審に思ひ其
邊を