“ばね”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:バネ
語句割合
弾機47.9%
発条19.7%
弾条9.9%
撥条5.6%
彈機4.2%
弾力2.8%
弾撥1.4%
機弾1.4%
機械1.4%
1.4%
羽子1.4%
羽毛1.4%
1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一所懸命にやってみたが、僕の予想していたとおり、それは上がらなかった。そこで僕は隠し弾機ばねがあるにちがいないと気がついた。
棺は暖かに柔かくしとねを張り、その蓋には墓窖の扉と同じ仕組みで、体をちょっと動かしただけでも自由に動くように工夫した発条ばねをつけた。
仮りに目方の方が不変であるとしても、これを比較すべき弾条ばねの弾性というものがなかなか厄介千万なものである。これは第一、温度によって変化する。
方則について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
青い革のズボン吊り。本麻、赤縞ワイシャツに猫目石のカフスボタン。三つボタンは十八金。襟飾ネクタイは最近流行し初めた緑色の派手なペルシャ模様。留針タイピンは物々しい金台の紅玉ルビー。腕輪はニッケルの撥条ばね
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彈機ばねのごともあはてたるあつき力もて
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
長い廻廊をぐるぐる廻って、二つ三つ階子段はしごだんのぼると、弾力ばねじかけの大きな戸がある。身躯からだの重みをちょっと寄せかけるや否や、音もなく、自然じねんと身は大きなガレリーの中にすべり込んだ。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その垂れている繩の先に、冷やりと顔をなでられたので馬春堂は、ハッと、失いかけていた生命の弾撥ばねをよみがえらせて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
保根 (機弾ばねのやうに起ち上り)野見、一寸待てツ!
長閑なる反目 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
と云って声をかけると、死んだようになっていた老人は、機械ばね仕掛の偶人にんぎょうのようにぴょこんと跳び起きるなり、犬か何かの走るように逃げだした。
虎杖採り (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その墓場には鳥のばねのやうに亡骸なきがらの言葉がにほつてゐる。
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
つく羽子ばねの静に高したれやらん
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「すぐ側に、鳥のはねが一枚落ちて居ました。百姓家が近いから、風に飛ばされて入つて來たのかも知れませんが、親羽毛ばねで、なか/\確かりしたものでした」
雪で作ったような向いばねの鳩の群れがたくさんに飛んで来ると、湯の町を一ぱいに掩っている若葉の光りが生きたように青く輝いて来る。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)