撥条ばね)” の例文
旧字:撥條
それは二輪の車で、内部は茶褐色ちゃかっしょくの皮で張られ、下には組み合わせ撥条ばねがついており、ただ郵便夫と旅客との二つの席があるきりだった。
青い革のズボン吊り。本麻、赤縞ワイシャツに猫目石のカフスボタン。三つボタンは十八金。襟飾ネクタイは最近流行し初めた緑色の派手なペルシャ模様。留針タイピンは物々しい金台の紅玉ルビー。腕輪はニッケルの撥条ばね
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ちょうど、もう撥条ばねを巻かれなくなった振り子が、しだいに振動をせばめてついに止まってしまおうとしてるのによく似ていた。
顔全体はたちまち骸骨がいこつのそれのように土色の角を刻み、両腕は撥条ばねが切れたようにだらりとたれ下がり、惘然ぼうぜんたる驚きの余りその震えてる年老いた両手の指は一本一本にひろがり
僕は機械の撥条ばねを絶えず巻きはしない、一挙に人類を運び去ってやる、糸を切らさずに事実の網の目を編んでやる、予備の物をそなえない、決してよけいなものを積んでおかない。