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発条
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ばね
ふりがな文庫
“
発条
(
ばね
)” の例文
穏やかで温かい中に、
発条
(
ばね
)
のような
強靱
(
きょうじん
)
さをひそめていた相貌が、いまは屈託し疲れた老人、といったふうにしかみえなかった。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
棺は暖かに柔かく
褥
(
しとね
)
を張り、その蓋には墓窖の扉と同じ仕組みで、体をちょっと動かしただけでも自由に動くように工夫した
発条
(
ばね
)
をつけた。
早すぎる埋葬
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
併し藤沢は、抑えている間は縮んでいる
発条
(
ばね
)
のように、手を放すとすぐに
原状
(
もと
)
に戻って、まもなくその時の恐怖感を忘れてしまうのだった。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
報酬への期待を行為の
発条
(
ばね
)
とする人々の一人となるな。……精励して義務をはたせ。好かれ悪しかれ、結果と帰着とについての考えを一切逐い払え。
ベートーヴェンの生涯:07 ベートーヴェンの『手記』より(訳者抄)
(新字新仮名)
/
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(著)
いちど
弾
(
はじ
)
きかえしてやらなければ気がすまない、強い
発条
(
ばね
)
のようなものを持っていて、力いっぱいに反抗しているときくらい生の充実を感じることはない。
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
忘れるな。僕がいま、はっきりさせた半面は、僕の意欲したところのもの。僕みずから動かした僕の
発条
(
ばね
)
。これこそ勇気であり、力であると御記憶ありたい。
碧眼托鉢:――馬をさへ眺むる雪の朝かな――
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
発条
(
ばね
)
が跳ねる、とクレーはちやうど山鳥か何かが飛び立つかのやうに、ゆるい弧を描きながら青空に投げ出される、その瞬間、射手は腰のあたりに構へた銃をすばやく肩に引上げ
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
夫人は床をコンと蹴ると、
発条
(
ばね
)
仕掛の人形のように、石油箱から飛びあがった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
祖父は九十歳の
踵
(
かかと
)
でくるりと回って、
発条
(
ばね
)
がとけるような具合に言い出した。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
横にある竹の
発条
(
ばね
)
は、下の台から来ている糸によって、鼠に頭と尾とを持上げた姿をとらせているが、発条を押す瞬間に糸はゆるみ、頭と尾が下り、そして頭は皿を現す小さな竹の輪の中へ入る。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
立たないのかという言葉は天床や
襖
(
ふすま
)
がびりびりいったほどの大喝である、栄之助は下から
発条
(
ばね
)
を掛けられたように跳上った。
評釈勘忍記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
肉の厚い、逞しい胸郭が大きくふくらみ、手足の筋肉に
発条
(
ばね
)
のような力の溢れてくるのがうかがえる。——やるぞ。見ていた三人はそう直感した。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
眉毛の長い、細い鋭い眼をした、少しなで肩の、柔軟のなかに
発条
(
ばね
)
のような弾力を思わせるからだつきだった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼の抱えている腕の中で、少女はじっと両足をちぢめているが、それは少し力を緩めると
発条
(
ばね
)
のようにはね返り、悪魔のように荒れ狂いそうな感じだった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そんなふうに刀を合わせると、こんどは爽快といってもよいほどの闘志が
湧
(
わ
)
いて来た。全身が軽くなり、手足は
発条
(
ばね
)
のように柔軟な弾力をもって、敵を選ばず相手になった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
素足のままふところ手をして
瘧
(
おこり
)
にかかったかのようにがたがた震えている者、きみの悪いほど、白い硬ばった顔でときどきびくんと
発条
(
ばね
)
じかけのように首だけ後ろへ振向ける者
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
発
常用漢字
小3
部首:⽨
9画
条
常用漢字
小5
部首:⽊
7画
“発条”で始まる語句
発条仕掛
発条錠