-
トップ
>
-
はくぜう
逃げもせず
隱られもせず、
欲かしらねど
盜みましたと
白状はしましよ、
伯父樣同腹で
無きだけを
何處までも
陳べて、
聞かれずば
甲斐なし
其塲で
舌かみ
切つて
死んだなら
白状せば
伯父が
上にもかゝる、
我が
罪は
覺悟の
上なれど
物がたき
伯父樣にまで
濡れ
衣を
着せて、
干されぬは
貧乏のならひ、かゝる
事もする
物と
人の
言ひはせぬか、
悲しや
何としたらよかろ
家の
人の
機嫌そこなうても
困りますと
迂路/\するに、
與四
郎は
心おごりて、
馬鹿婆めが、
何のやうに
引割かうとすればとて、
美尾は
我が
物、
親の
指圖なればとて
別れる
樣な
薄情にて
有るべきや