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てむかひ
何が
旦那だ。
捕虜と
言へ、
奴隷と
呼べ、
弱者と
嘲れ。
夢か、
現か、
分らん、
俺は
迚も
貴様達に
抵抗する
力はない。
残念だが、
貴様に
向ふと
手足も
痺れる、
腰も
立たん。
只さへ病弱な身、まして疲れた後——思ふに、何の
抵抗も出来なかつたらしい。血は雪の上を流れて居た。
抵抗も
成らず
裸にされて、
懷中ものまで
剥取られた
上、
親船、
端舟も、
斧で、ばら/\に
摧かれて、
帆綱、
帆柱、
離れた
釘は、
可忌い
禁厭、
可恐い
呪詛の
用に、
皆奪られて
了つたんです。