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ちみまうりやう
恰も
何よ、それ
畜生道の
地獄の
絵を、
月夜に
映したやうな
怪の
姿が
板戸一
重、
魑魅魍魎といふのであらうか、ざわ/\と
木の
葉が
戦ぐ
気色だつた。
魑魅魍魎のやうに暗躍する惡者共を番毎
顫へ上がらせてゐる名題の名御用聞です。
罷違ふて
旧道を
皆歩行いても
怪しうはあるまい、
恁ういふ
時候ぢや、
狼の
春でもなく、
魑魅魍魎の
汐さきでもない、まゝよ、と
思ふて、
見送ると
早や
親切な
百姓の
姿も
見えぬ。
あはれ
其時那の
婦人が、
蟇に
絡られたのも、
猿に
抱かれたのも、
蝙蝠に
吸はれたのも、
夜中に
𩳦魅魍魎に
魘はれたのも、
思出して、
私は
犇々と
胸に
当つた