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たつきち
中には、
家の
方へ
走っていったものもあります。ただ、
木の
下には、
辰吉のはいていた
小さなげたが、二つ
残っているばかりでありました。
あるところに、
辰吉という
少年がありました。
辰吉は、
小さな
時分に、
父や
母に
別れて、おばあさんの
手で
育てられました。
いつであったか、
辰吉は、おばあさんから、
人間というものは
死んでしまえば、みんな
天へ
上って、
星になってしまうものだと
聞いていました。
勇蔵に
代わって
赤ん
坊の
守りをしながら、ボールを
見ていた
達吉の
耳へも、
一人の
子供が
飛んできて、
伯父の
災難を
知らせました。
達吉の
伯父さんは、
新しく
造ってきた、ぴかぴか
光るブリキのといをのき
下に
当ててみて、
雨水の
流れる
勾配を
計っていました。
達吉は、
父親が
戦死してから、
戦争にいった
兵隊さんに
対して、なんとなくいいしれぬ
親しみをもつようになったのでした。