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じつぷんかん
春は
櫻の
賑ひよりかけて、なき
玉菊が
燈籠の
頃、
續いて、
秋の
新仁和賀には、
十分間に
車の
飛ぶこと、
此の
通りのみにて
七十五輌。
十分間に
七十五輌、
敢て
大音寺前ばかりとは
云はない。
馬道は
俥で
填まつた。
淺草の
方の
悉い
事は、
久保田さん(
万ちやん)に
聞くが
可い。……
山の
手、
本郷臺。
此の
間約十分間。
恁うまで
大切にすると
云ふのが、
恩人の
遺兒でも
何でもない、
我が
兒なのである。
しかし、
十時四十八分發には、まだ
十分間ある、と
見較べると、
改札口には、
知らん
顏で、
糸崎行の
札が
掛つて、
改札のお
係は、
剪で
二つばかり
制服の
胸を
叩いて、
閑也と
濟まして
居らるゝ。