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かうふく
『だつてあなたは、
私がやつぱし、
父のいふ
意味の
幸福な
結婚を
求め、さうしてまた、それに
滿足して
生きてられる
女だとしか
思つてない……』
天の
恩惠は
重ね/″\
脊に
下り、
幸福が
餘所行姿で
言寄りをる。それに
何ぢゃ、
意地くねの
曲った
少女のやうに、
口先を
尖らせて
運命を
呪ひ、
戀を
呪ふ。
文句は
色々に
變へて、
或は
強く、
或は
弱く、
或は
罵り、
或はふざけ、
種々樣々の
事を
書いてやつた。
中途で
凹たれては
全く
敵に
降伏する
譯だから、
例の
持藥のつもりで
毎日書いた。