“えんさき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
縁先74.5%
縁前10.6%
縁端6.4%
椽先4.3%
椽前2.1%
簷先2.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ニヤリとわらったまつろうが、障子しょうじすみへ、まるくなったときだった。藤吉とうきち案内あんないされたおこのの姿すがたが、影絵かげえのように縁先えんさきあらわれた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
奉行の座の左右には継肩衣つぎかたぎぬをつけた目安方公用人が控え、縁前えんさきのつくばいと申す所には、羽織なしではかま穿いた見習同心が二人控えて居りまして、目安方が呼出すに従って
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さてその日もようやく暮れるに間もない五時頃に成っても、叔母もお勢も更に帰宅する光景ようすも見えず、何時いつまで待っても果てしのない事ゆえ、文三は独り夜食を済まして、二階の縁端えんさき端居はしいしながら
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
折ふし徳蔵おじは椽先えんさきで、しもしらんだもみの木の上に、大きな星が二つ三つ光っている寒空をながめて、いつもになく、ひどく心配そうな、いかにも沈んだ顔付かおつきをしていましたッけが
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
かれが書斎の椽前えんさきには、一個数寄すきを尽したる鳥籠とりかごを懸けたる中に、一羽の純白なる鸚鵡おうむあり、ついばむにも飽きたりけむ、もの淋しげに謙三郎の後姿を見りつつ、かしらを左右に傾けおれり。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正造はまた眉根をつりあげて簷先えんさきの黒雲に眼を放っていたが、「なんの必要で警察がそんな調査をするのか。そんな怪しからんことを横堀君はなぜ黙っているのだ」
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)