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いつさく
今、
此厄難に
際して、
吾等の
採る
可き
道は
只二つある、
其一つは、
何事も
天運と
諦めて、
電光艇と
共に
此孤島に
朽果てる
事——
然しそれは
何人も
望む
處ではありますまい——
他の
一策は
他でも
無い
後檣縱帆架に
飜る
旗は、まだ
朦乎として、
何國の
軍艦とも
分らぬが、
今や、
團々たる
黒煙を
吐きつゝ、
波を
蹴立てゝ
吾が
輕氣球の
飛揚せる
方角へ
進航して
來るのであつた。
此時私は
急に
一策を
案じた。
『
此處に
唯だ
一策があるよ。』と
私は
一同に
向つたのである。