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さうしたあかいろどられたあきやまはやしも、ふゆると、すっかりがおちつくして、まるでばかりのようなさびしい姿すがたになり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
帰り着いてみるとおかみさんは、又も西日がテラテラし出した裏口で、石の手臼てうすをまわしながら、居ねむり片手にいていた。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この絵本の色彩は歌麿が『吉原年中行事よしわらねんちゅうぎょうじ』と同じく各色かくしょくの間に配合せられしみどり二色にしょくは常によく全画面の色調を温和ならしめたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なつになるとそれらが、あかみどり、さまざまのはないてうつくしかったのです。ちょうや、はちは、終日しゅうじつはなうえびまわっていました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
納戸色なんどいろ、模様は薄きで、裸体の女神めがみの像と、像の周囲に一面に染め抜いた唐草からくさである。石壁いしかべの横には、大きな寝台ねだいよこたわる。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
眞白まつしろなのは、てのひらへ、むらさきなるは、かへして、指環ゆびわ紅玉ルビイかゞやかふへ、朱鷺色ときいろあしして、かるとまるまでにれたのであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
祖母おばあさんはれい玄關げんくわんわきにあるはた腰掛こしかけまして、羽織はおりにするぢやう反物たんものと、子供こどもらしい帶地おびぢとを根氣こんきつてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
母親は二階のとこの間に、ゆるような撫子なでしこと薄紫のあざみとまっ白なおかとらのおといろいこがねおぐるまとをぜてけた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
石狩いしかり平原は、水田已にばんで居る。其間に、九月中旬まだ小麦の収穫をして居るのを見ると、また北海道の気もちにえった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ばんだ象牙ざうげひたひ薔薇ばらの花、自分で自分を愛してゐる黄ばんだ象牙ざうげひたひ薔薇ばらの花、處女をとめよる祕密ひみつをお話し、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
黄塵くわうぢん濛々そう/\々として、日光さへばむで見える大都たいとの空に、是が二百まんの人間を活動させる原動げんどう力かと思はれる煤煙はいえんが毒々しくツ黒に噴出し
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
その声はもの考えする人の神経しんけいをなやましそうな声であった。ほうきめのついてる根元ねもと砂地すなちに、ややばんだせんだんのみだしてある。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「そのかたもね、おかくれになった殿とのさまぎつねみたように、いろいような青いようなみごとなしっぽが、九本あること?」
ゆる荒熊あらくまと一しょにもつながれう、はかなかにも幽閉おしこめられう、から/\と骸骨がいこつむさくさ向脛むかはぎばんだあごのない髑髏しゃれかうべ夜々よる/\おほかぶさらうと。
なはには注連しめのやうにきざんだあかあをかみが一ぱいにひら/\とられてある。彼等かれら昨日きのふうちに一さい粧飾かざりをしてにはとりくのをつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
山脈さんみゃくの雪はまっ白にえ、の前の野原はいろや茶のしまになってあちこちこされたはたけとびいろの四角しかくなきれをあてたように見えたりしました。
おきなぐさ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
むらほうから行列ぎょうれつが、しんたのむねをりてました。行列ぎょうれつ先頭せんとうにはくろふくくろ帽子ぼうしをかむった兵士へいし一人ひとりいました。それが海蔵かいぞうさんでありました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
唱へながら引かれしとぞ此時お熊のたるより世の婦女子ふぢよしぢやうは不義のしまなりとてきらひしはたはれ事の樣なれども貞操ていさうこゝろともいふべし然るを近來ちかごろ其事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
旦那、これは差上げませう、よろしう御座います、このいろいしんざうなら、心からよろこんで差上げます。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
間もなくR瓦斯は、十五台の自動車に積んだタンクから濛々もうもうと放出された。いろを帯びたこの重い瓦斯は、草地をなめるようにして静かにひろがって行った。
火星探険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
のくらい歩いただろう、もう日は大和路のな菜の花のなかに、きわめて派手な光琳式こうりんしきの真赤な色に沈落しずみおちてしまってから、急いで私は淋しい古い街にある宿へ着いた。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
外套ぐわいたう日蔭町物ひかげちやうもの茶羅紗ちやらしやかへしたやうな、おもいボテ/\したのを着て、現金げんきんでなくちやかんよとなどゝ絶叫ぜつけうするさまは、得易えやすからざる奇観きくわんであつたらうとおもはれる
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
少年の時に地理書で教へられた長い隧道トンネルを越えて伊太利イタリイはひり、マヂオル湖に沿うて汽車のはしまゝに風物は秋に逆戻りして、葡萄ぶだうの葉は赤く、板屋楓プラタアン広葉ひろばを光らし
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
下のほうからっぽい小水しょうすいの湯気につつまれ、でも彼の表情は、微動だにしない。ぼくはあきれ、半ば感嘆して、でもボタンをはめながらウロウロとそこを離れたくなかった。
煙突 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
けれど、ずいせんを、ゲルダがとびこえようとしたとき、それに足がひっかかりました。そこでゲルダはたちどまって、その黄色い、背の高い花にむかってたずねました。
髮形をすつかり堅氣の娘風にしたお靜の後姿——ぢやうあはせ緋鹿ひかの子おびが、唐花屋の暖簾のれんをくゞつて見えなくなつた時は、大日坂だいにちざかの下から遠く樣子を見て居た錢形の平次も
我が此川を見た最初さいしよの記憶は、きみが背中にぶさつて野桑のぐはを摘みに來た時、ほらこれ大川だよと指さして教へられた。小さなうづいろぽいあぶくを載せた儘すい/\と流れてゐた。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
しん始皇しこうの世に、銅を通貨にるようになったまでは、中国の至宝は宝貝であり、その中でも二種のシプレア・モネタと称するに光る子安貝こやすがいは、一切の利慾願望の中心であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しかし、よるつて、またおし入の中での現像げんぞう結果けつくわは、かん板の色いめんがまつくろになつてしまふばかり。とう/\二ダースのかん板を無駄むたにしたが、影像えいぞうまつた膜面まくめんあらはれて來なかつた。
すると、またそこにも、ガラスの向こうに部屋へやがあって、やっぱりクリスマス・ツリーが立っている。プラムのはいったのや、赤いのや、いろいのや、いろんなお菓子かしならんでいる。
びらの無紋むもんに、茶献上ちゃけんじょうの帯。切れの長い眼尻めじりに、燭台の灯がものすごく躍る。男でも女でも、美しい人は得なものです。どんな恰好かっこうをしても、それがそのまま、すてきもないポーズになる。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼が、巡視隊の家士十二人を選んで、そのすべてに白とおどしの具足ぐそくを着せ、黄と白の母衣ほろを負わせ、手綱、馬飾りまですべて山吹ぞっきの行装で練り歩いたなども、一端の例といえよう。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
氷にをかけたるは江戸の目には見もなれ可笑をかしければ、京水と相目あひもくしてわらひをしのびつゝ、是はあたひをとらすべし、今ひとさらづゝ豆の粉をかけざるをとて、両掛りやうがけ用意よういしたる沙糖さたうをかけたる削氷けづりひ
かりそめとおもふはさびひしいろき繭にこもりはてたり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
しろべに花さまざまの菊に醉ひてとなりの翁けふもひるいする
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
こまかた銀杏いてふ散葉ちりはえてその向き向きを霜のよろしさ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
稲の熟するころとなると、谷々の水田がばんでくる。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
思あれば秋は袖うつひと葉にも涙こぼれて夕風なり
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
わがも、げにみなづきのなる石と
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
赤といろの だんだらまだら
魔法の笛 (新字新仮名) / ロバート・ブラウニング(著)
はなよ、のかをりにして
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
人々は皆芝に腰たんぽぽ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
なる花咲きし
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いろいかみ
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ちょうどれかかって夕焼ゆうやけのあかくもしずかないけみずうえうつっていました。いけ周囲しゅういにはうつくしいはなが、しろむらさきいていました。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これは園内えんないに見るよりも Corn flower と名にもある通り外国の小麦畑のばんだ小麦まじりに咲いたのが好い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
土地とちのものが、其方そなたそらぞとながる、たにうへには、白雲はくうん行交ゆきかひ、紫緑むらさきみどり日影ひかげひ、月明つきあかりには、なる、また桃色もゝいろなる、きりのぼるを時々ときどきのぞむ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それ多少たせうまつて、みきすときなぞは、みきからくびすと、土手どてうへあき暖味あたゝかみながめられるやう心持こゝろもちがする。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すみべにながしてめた色紙いろがみ、またはあかあを色紙いろがみ短册たんざくかたちつて、あのあをたけあひだつたのは、子供心こどもごゝろにもやさしくおもはれるものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
やがて麦の根元ねもとばみ、菖蒲あやめつぼみは出で、かしの花は散り、にわやなぎの花は咲いた。かいこはすでに三眠さんみんを過ぎた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)