たち)” の例文
この春高等小学校を卒業してからお幸は母が少しばかりの田畑を作ることゝ手仕事で自分たちを養つて居るのを心苦しく思ひまして
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
おとこおんな相違そういが、いまあきらかに袖子そでこえてきた。さものんきそうなにいさんたちとちがって、彼女かのじょ自分じぶんまもらねばならなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
大きい白鳥が羽搏はばたいて過ぎるときに、落してゆく羽毛ほどだつた。で、このあたりの子供たちは、雪を見るとかう歌つた喜んだ。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
「もうお暇乞いとまごいが近くなった。お前と一しょに行ってしまわなくってはならない。己たち二人の時間がおしまいになるのだよ。」
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
そのころ、僕たち郊外こうがいの墓場の裏に居を定めていたので、初めの程は二人共みょう森閑しんかんとした気持ちになって、よく幽霊ゆうれいゆめか何かを見たものだ。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
けれども三にんともあしうごかさない。そして五六にんおな年頃としごろ小供こどもがやはり身動みうごきもしないでばあさんたち周圍まはりいてるのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ある年、山がまだ雪でまっ白く野原には新らしい草も芽を出さない時、虔十はいきなり田打ちをしていた家の人たちの前に走って来て云いました。
虔十公園林 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
くつろいでひとにおいするときには、んな奇麗きれいところんで、んな奇麗きれい姿すがたせてれど、わたくしたちとていつもうしてのみはいないのです。
そこにはロシヤのいはゆる「千八百八十年だい知識階級インテリゲンチヤ」であるところのラアネフスカヤをはじめ、老若ろうじやくの男女たちの十人があつまつて舞踏ぶとうけうじてゐる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
虚無主義という名を附けられた青年連は、自分たちを侮辱したというので、これも作者を攻撃する。作者は板挟いたばさみになったと、自分で書いていますね。
出さぬに於ては主從とも引摺出ひきずりだし奉行所へ召連めしつれ訴訟そしようして一言もいはせぬ樣にせねばならぬコリヤ長兵衞久五郎貴樣たち案内あんない
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
Bは船室の中のH夫妻をすらBたちのものとして感じ、B達のものとして慰め、B達のものとして楽むやうになつた。
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
それが普通と違つて、死にもの狂ひの騒ぎだつたものですから、村の人たちは皆を覚して、飛び出してきました。
犬の八公 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
岡田さんの事はお父さんとわたしとで当人たちに都合の好いようにしたんだから、余計な口をかずに黙って見ておいでなさいって。どうも手痛てひどくやられました
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぼくたちは、ロングビイチの近くにある、フォオド工場の提供してくれた、V8の新車八台に分乗して、工場の見学後、ロングビイチの合宿に着きました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
日が暮れて子供たちが寝床へゆく時間になったのに、幹子みきこは寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。
(新字新仮名) / 竹久夢二(著)
汽車のやうな郊外電車が、勢ひよくゴッゴッゴッゴッと走つて来て、すぐそばの土堤どての上を通るごとに、子供たちは躍り上つて、思はずくさむらから手を挙げました。
原つぱの子供会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
きみごろからだは何うかね。」としばらくして私はまた友にたづねた。私たちふとかならどツちかさきの事をく。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
以前はわらっていた朋輩たちも少々気味が悪くなって来た。メムフィスのまちはずれに建っている方尖塔オベリスクの前で、彼はその表にられた絵画風な文字を低い声で読んだ。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
わたしはいまほんを、ちひさい兄弟姉妹けうだいしまいたちである日本にほんどもたちおくります。また。そのどもたちおやであり、先生せんせいである方々かた/″\にも是非ぜひんでいたゞきたいのです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
元から天人たちは自分で降りて来て美しい景色をながめながら、うしほを浴びるのでしたが、伯良はくりやうが羽衣を隠してから後危ないから、こんな工合にしてゐるのでした。
子良の昇天 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
「ふふふ。おめえたち、あんまりかなぎるぜ。おせんちゃんにゃ、おせんちゃんのようがあるんだ。野暮やぼめだてするよりも、一こくはやかえしてやんねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
翌日よくじつ同志達どうしたちみんなから醵金きよきんした入院料にふゐんれうつて、彼女かのぢよ屍體したいりにた。すると、黒衣こくいばうさんたちが、彼女かのぢよ周圍しうゐいたが、K斷然だんぜんそれを拒絶きよぜつした。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
万作は立上つて何事だらうと思つてのぞいてみると、何百人か何千人か知らないが、百姓や商人あきんどや職人たちが多勢てんでにあかい旗を打振つて山をこちらへ登つて来るのでした。
蚊帳の釣手 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
「ところが、やつこさんたち、御覧の通りの始末でとんと私を慈善家にする機会を与へて呉れない。」
筆者はきわめて最近電車の中で、若いインテリらしい婦人が、その友人たちと交えている会話の中に、リストという言葉を聞いて思わずき耳を立てた。婦人は言うのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
放擲ほうてきされ、人工の森や林や花園は、殆ど元の姿を失って、雑草のはびこるに任せ、鉄筋コンクリートの奇怪な大円柱たちも、風雨にさらされて、いつしか原形をとどめなくなって了いました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
農家のことですから昼のうちは野良仕事がいそがしい。お夕飯をすましてからみな呼びかはして入りに行きます。おばあさんたち女づれは、大てい夜おそく寝がけに行くことにしてゐました。
狐に化された話 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
むかう河岸かししづかないゝうちがあるわ。わたしたちなら一時間じかん百円ひやくゑんでいゝのよ。」
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
やあ わかつた 月博士はかせ火星信号器くわせいしんがうきでぼくたちへ光ををくつてゐるんだ
小僧こぞうさんたちもののほころびでもれたならわたしうちつておいで、おうち御多人數ごたにんず内儀かみさんのはりつていらつしやるひまはあるまじ、わたし常住じやうじゆう仕事しごと疊紙たゝうくびぴきなればほんの一針ひとはり造作ざうさ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さま/″\な批評ひゝやうもてあそばれながら、繪葉書のうへいて行く女優たちの顏!これらがやがていろもなくもなくなつていつた時には一體いつたいどうなるのでせう? それはたとひ、虚榮きよえいあやまられたその不明ふめい
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
わたくしは自分たちを夫とか妻とか考えません。
内のちびたちにこれを遣るのだわ。
そのむらにも伯父をぢさんがつて挨拶あいさつしてうちがありましたが、入口いりぐちはしらのところにつながれてうまとうさんたちはうまして
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
鐘を撞くと、舟にのつてゐるれふしやはたけに出てゐる百姓たちが、弁当をべる時刻を間違へるので、ひどくしかられることを栄蔵はよく知つてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
たちなんかとはなしてゐると三人の位置いちひき玉にかんがへられたり、三つならんだちや碗の姿すがたおも白いおし玉の恰好かつこうに見※たりする。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たちは長い間、汽車にられて退屈たいくつしていた、母は、私がバナナをんでいる傍で経文をしながら、なみだしていた。
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
あなたがた世界せかいくだり、いろいろと現界げんかい苦労くろうをされるのも、つまりはふか神界しんかいのお仕組しくみで、それがわたくしたちにもまたとなき学問がくもんとなるのです。
つかはすにより緩々ゆる/\滯留たうりうして金毘羅樣こんぴらさまへも參りたり江戸にもなきめづらしき船遊山ふなゆさんでもして春になつてからゆるりと歸るがよし然すれば我等も都合して貴樣たち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いつもの住いで自分たちを強くし付けていたような運命が、ここへ移り住んでからは、どうした事か、少しも力を逞ゅうしなくなった。そればかりではない。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
お母さんたちはかう子供に教へます。恐しい毒な蛇いちご、みかけは大変美しくて、人の体をとかしてしまふ蛇いちご。本当にさうなんでせうか? わたしは知りません。
蛇いちご (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
どもたちをおもひあいすることによつて、わたしはわたしの苦惱くるしみにみちみてる生涯しやうがいきよく、そしてうつくしい日々ひゞとしてすごすでせう。これはおほきな感謝かんしやであります。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
幔幕まんまくりめぐらした、どこぞの御大家ごたいけなかへ、まよんだあたしたちは、それおまえおぼえてであろ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
学校の先生がお通りになると、街で遊んでいた生徒たちが、みんなお辞儀をするように、風が通ると、林に立っている若いこずえも、野の草も、みんなお辞儀をするのでした。
(新字新仮名) / 竹久夢二(著)
けれども自分たちに投げつけられたのだと思つたらしく子猿どもは一時藪影やぶかげへ隠れましたが、また出て来て、今度はその釣竿を一疋の可成り大きい兄さんの猿が掴んだと思ふと
山さち川さち (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
しかし八太郎は一向平気でした。その白と黒との二匹の子犬が、まるまるとふとつて、ふざけ散らしてるのを見て、さもうれしさうに笑つてゐました。村の子供たちがまた始終、犬を見にやつて来ました。
犬の八公 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
あなたたちは地きうからの大せつなお客様きやくさまです わるいことにはなりません
木曽路きそぢとほるもので、その蕎麥屋そばやらないものはないと、伯父をぢさんがとうさんたちはなしてれました。そこは蕎麥屋そばやともおもへないやうなうちでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
といふ母や父母のこゑ不平ふへいはモデルにした妹たちや女中までから來た。わたしはすつかり、しよげた。金ねだりにも、母は、さう/\いゝかほは見せなくなつた。