)” の例文
「バケツさん、どうぞご機嫌きげんようおらしなさい。」と、ねずみはわかれをげて、ふたたびさびしい町裏まちうらほうしてかけました。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
って、あたりを見𢌞みまわしたとき袖子そでこなにがなしにかなしいおもいにたれた。そのかなしみはおさなわかれをげてかなしみであった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この老人は応対おうたいのうまいというのが評判ひょうばんの人であったから、ふたりの使つかいがこの人にむかってのびと口上こうじょうはすこぶる大役たいやくであった。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
わたしは検事けんじと二人になった。じっとわたしの顔を見つめながらかれは、わたしが雌牛めうしをぬすんだとがで告発こくはつされていることをげた。
さく三十七ねん十二ぐわつ某夜ばうやことなりき、れいごと灌水くわんすゐへてじよくねむりきしもなく、何者なにものきたりて七福しちふくあたふとげたりとゆめむ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
それを見るやいなや、雲をかすみと、僧正谷そうじょうがたにへとんで帰った竹童。果心居士かしんこじ荘園そうえんへかけこむがはやいか、めずらしい今の話をげるつもりで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日出雄少年ひでをせうねんたゞ一人ひとりさだめてさびしく、待兼まちかねことだらうと、おもつたので、わたくし大佐たいさわかれげて、此處こゝ立去たちさことけつした。
するうち、牛若うしわか毎晩まいばんおそく僧正そうじょうたにへ行って、あやしいものから剣術けんじゅつをおそわっているということを和尚おしょうさんにぐちしたものがありました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
此一分間このいつぷんかんといつたのは、もつと長引ながび場合ばあひ顧慮こうりよしてのことであつて、大抵たいてい場合ばあひおいては二十秒間位にじゆうびようかんぐらゐ危險きけん震動しんどうをはりをげるものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あざむくに詞なければ、じつをもてぐるなり。必ずしもあやしみ給ひそ。吾は九三陽世うつせみの人にあらず、九四きたなきたまのかりにかたちを見えつるなり。
もなく小六ころくかへつてて、醫者いしや丁度ちやうど徃診わうしん出掛でかけるところであつた、わけはなしたら、ではいまから一二けんつてすぐかうとこたへた、とげた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
れいのいじくねわるいおしゅうとは、おなじたくらみをしましたが、王さまは、まだそのげ口をほんきにとり上げるまでの決心はつきませんでした。
あけてはをつとにもげられねば、病氣びやうき介抱かいはうことわるとふわけにかないので、あい/\と、うちのこことつたのは、まないたのない人身御供ひとみごくうおなことで。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
衞國ゑいこくはふひそかきみくるまするものつみ(一〇七)げついたる、すでにして彌子びしははむ。ひとき、いてよるこれぐ。彌子びしいつはつてきみくるましてづ。
蛇姫様のおげだといって、作平に家督をつがせ、じぶんがその女房におさまってうまうまお家を乗っとろうなどと企てるなんてえのは見あげた度胸。
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そして老先生らうせんせい權藏ごんざうげた言葉ことば、あれが其註解そのちゆうかいです、そして權藏ごんざう其人そのひともつ先生せんせい實物教育じつぶつけういく標本へうほんとしたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ロミオのをでもぐるした天人てんにんこゑきこゆる。……これ、乳母うばなん消息しらせぢゃ? ってゐやるはなんぢゃ? ロミオがっていとやったつなかや?
しながそれほど苦勞くらうした米穀べいこく問題もんだい死後しご四五年間ねんかん惨憺さんたんたる境遇きやうぐうからやうや解決かいけつげられようとしたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
よく見ると、それがあの盗賊とうぞくどもではありませんか。甚兵衛はびっくりして、見られないようにげだしてきました。そしてさるにそのことをげました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
伯母をばさんあの太夫たゆうさんんでませうとて、はたはたけよつてたもとにすがり、れし一しなれにもわらつてげざりしがこのみの明烏あけがらすさらりとうたはせて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おきなすこ安心あんしんして、れい五人ごにんひとたちのあつまつてゐるところにつて、そのことをげますと、みな異存いぞんのあらうはずがありませんから、すぐに承知しようちしました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
愉快度に過ぎて帰る事を忘れたれども小山夫婦が遅くなるとてわかれぐるに自分独り留まらん事なりがた
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
持行もちゆきせければ利兵衞の妻は見覺えのあるおきくかんざしなるゆゑおほいおどろき夫利兵衞にかくげしに利兵衞も是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたくしやま修行しゅぎょう随分ずいぶんながくつづきましたが、やがてまたこの修行場しゅぎょうばにもわかれをぐべき時節じせつがまいりました。
あわれであるから金を恵むというも、一円や二円の額ならその申し開きも受け取れるが、数千の金を出すにいま述ぶるがごとき申し訳けは取り上げがたいとげた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しやあはれな勞働者は其の唄のをはらぬうち惡魔あくまのやうな機械の運轉うんてん渦中くわちう身躰からだ卷込まきこまれて、唄の文句もんくの其のとほり、ながくもない生涯しようがいをはりげたのではあるまいか。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
うむ、そんなら貴樣きさまがこないだ途中とちうで、南京米なんきんまいをぬきつたのを巡査じゆんさげるがいいかとふんです
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
また彼女は彼等の思つてることでさへも見拔くことが出來て、各々の耳に世界中で一番好きな人の名を囁き、彼等が一番欲しがつてゐるものをげたと云ふのである。
兎角、さればと言いて頬ひげをなでたり。これにて高下こうげしるしあらわれたり。そのうえ兎角お城に向かいて剣をふる。いかで勝つことを得ん。これ運命のぐる前表也と——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
また或るものは神秘なる神のげに基づいて、しばしば迷うている男たちを頓悟とんごさせ啓発せしめた事跡は、記録には載らぬのを原則とするが、しかも相応に記録せられている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「あなたが先日あの方にあげた品ですね、あれをあの方は、こんな粗末そまつなものをもらったって何にもなりゃしないって蔭口かげぐちってましたよ。」などとげる第三者があるとします。
まことなんじらにぐ、なんじらイスラエルの町々まちまちめぐつくさぬうちにひときたるべし。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
彼女は原っぱのさかいの木戸を押しける。そして、ぐちをしたエルネスチイヌを従えて、はいって来た。生籬いけがきのそばを通る時、彼女はいばらの枝をへし折り、とげだけ残して葉をもぎ取った。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
或日、老僕ろうぼく、先生の家に至りしに、二三の来客らいかくありて、座敷ざしきの真中に摺鉢すりばちいわしのぬたをり、かたわらに貧乏徳利びんぼうとくり二ツ三ツありたりとて、おおいにその真率しんそつに驚き、帰りて家人かじんげたることあり。
みんなは、悪漢どもが島に滞在たいざいしていることを知らないのだ。凶悪無残きょうあくむざん海蛇うみへびら! かれらはどんな惨虐さんぎゃくな行為を一同の上に加えるだろう、早くげなければならない、どうあっても死なれない。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
あまつさえ人夫らのうちに、寒気と風雨とに恐れ、ために物議を生じて、四面朦朧もうろう咫尺しせきべんぜざるに乗じて、何時いつにか下山せしものありたるため、翌日落成すべき建築もなお竣工しゅんこうぐるあたわざるとう
大丈夫だいじやうぶだといふところで、望生ぼうせいに一たい如何どうしたのかとうてると、草刈くさかりながに、子供こどもて、去年きよねんくれ此處こゝ大穴おほあなけたのは、此人達このひとたちだとげたために、いくらお前達まへたちねこかぶつても駄目だめだと
さうふやうにかんがへてると、我國わがくに經濟界けいざいかい基礎きそ堅固けんごのものにらずして早晩さうばん變動へんどうすべき状態じやうたいのものであつたので、あたかひと自分じぶん收入しうにふでは生計費せいけいひ不足ふそくぐるをもつ毎月まいつき借入金かりいれきんをして
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
死をげ知らすせはしさに、響はえず
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
姫ありとしもげざりし。
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ゆふげわたる鐘の音に
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
むらひとは、べつに、たたるものもないが、おばあさんがんだけれど、だれも、はかててやるものがないということをげました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
すなは明治二十七年めいじにじゆうしちねん六月二十日ろくがつはつか東京地震とうきようぢしん最初さいしよから十五秒間じゆうごびようかんいちじるしい震動しんどうをはりをげ、大正十四年たいしようじゆうよねん但馬地震たじまぢしん二十秒間にじゆうびようかん全部ぜんぶほとんどをさまり
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
少なくともわたしにはそう想像そうぞうされたから、もはやわたしの素性すじょうげたり、バルブレンのおっかあに手紙をやったりされるおそれがなくなった。
社の内から走りだしてきた巫女みこの少女が、かれの姿をみるとこうげた。だが、宮内はゆううつな顔をうつむけたまま
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
びとを帰したお政は、いささか気もおちついたものの、おちついた思慮しりょが働くと、さらに別種べっしゅ波瀾はらんが胸にわく。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
うなるとすこ遣場やりばこまるのね」とうつたへるやう宗助そうすけげた。實際じつさい此所こゝげられては、御米およね御化粧おつくりをする場所ばしよくなつて仕舞しまふのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この談話だんわをはると、わたくし大佐たいさわかれげ、武村兵曹たけむらへいそうおくられて、まへ不思議ふしぎなるみちぎて、秘密造船所ひみつぞうせんじよそとた。
かつ性來せいらい記憶力きおくりよくとぼしきは、此等これら病症びやうしやうためます/\その※退げんたいするをかんじ、治療法ちれうはふ苦心くしんせるときたま/\冷水浴れいすゐよくしてかみ祷願たうぐわんせばかなら功驗こうけんあるしとぐるひとあり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
かくて餘物よぶつるや。みな丘山きうざんもたゞならず、すなはみづかる。るにしたがうて、𥶡りんこと/″\むしむなもとつらぬく。もつ飛衞ひゑいぐ。先生せんせい高踏かうたふしてつていはく、汝得之矣なんぢこれをえたり
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)