黒人くろんぼ)” の例文
虚栄には表裏両面がある。表面は愚で、ガラス玉をつけた黒人くろんぼだ。裏面はばかで、ぼろをつけた哲学者だ。僕は前者を泣き、後者を笑う。
女弁護士はその弁護を引請ひきうけて、法廷に立つた。そして色々の方面から熱心に喋舌しやべつたかひがあつて、黒人くろんぼうまく無罪になつた。
其が夥間なかまの一人だつたのが分つたから、声を掛けると、黒人くろんぼ突倒つきたおして、船は其のまゝ朱色しゅいろの海へ、ぶく/\と出たんだとさ……可哀相ねえ。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
人が腐る、黒人くろんぼの膚からは白髪のような菌がでる——そういう、雨期特有のおそろしい湿熱が、いまモザンビイクをむんむんと覆いつつんでいる。雨、きょうもこの島町は湯滝のような雨だ。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
れも英人なりとほこりかに云ひし黒人くろんぼのドクトルはコロンボにて降りしにさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
あいつを取捕とっつかまえて焼き殺してやれ、メリケンの国では、黒人くろんぼを取捕まえると焼き殺してしまうんだから、日本でも毛唐を取捕まえて焼き殺したってかまわねえ……なんて、この頃中からマドロスを
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
黒人くろんぼの花嫁! 黒人くろんぼの花嫁!」
高台寺 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それ夥間なかま一人ひとりだつたのがわかつたから、こゑけると、黒人くろんぼ突倒つきたふして、ふねのまゝ朱色しゆいろうみへ、ぶく/\とたんだとさ……可哀相かはいさうねえ。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黒人くろんぼは女弁護士に手紙を出して、熱心に自分の弁護を頼んだ。黒人くろんぼを法廷で弁護するのは、黒人くろんぼを天国へ引張りあげるよか、ずつと愉快な事に相違ない。
西瓜すいかは投げぬが、がつくり動いて、ベツカツコ、と目をく拍子に、前へのめらうとした黒人くろんぼの其の土人形つちにんぎょうが、いきおい余つて、どたりと仰状のけざま
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何故といつて、天国へ引揚げられた黒人くろんぼは、多時しば/\地獄へ落ちてゆくが、牢屋から出て来る黒人くろんぼは、また同じ弁護士の事務室に顔出しするにきまつてゐるから。
西瓜すゐくわげぬが、がつくりうごいて、ベツカツコ、と拍子ひやうしに、まへへのめらうとした黒人くろんぼ土人形つちにんぎやうが、勢餘いきほひあまつて、どたりと仰状のけざま
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふと蓮葉はすはに、ものを言つて、夫人はすつと立つて、対丈ついたけに、黒人くろんぼ西瓜すいかを避けつゝ、鸚鵡のかごをコト/\と音信おとずれた。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふと蓮葉はすはに、ものをつて、夫人ふじんはすつとつて、對丈つゐたけに、黒人くろんぼ西瓜すゐくわけつゝ、鸚鵡あうむかごをコト/\と音信おとづれた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)