たづ)” の例文
「夕なぎにあさりするたづ潮満てば沖浪おきなみ高み己妻おのづまばふ」(同・一一六五)というのもあり、赤人の此歌と共に置いて味ってよい歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
やまと恋ひらえぬにこころなくこの洲の崎にたづ鳴くべしや(文武天皇)
万葉集の恋歌に就て (新字旧仮名) / 三好達治(著)
和歌わかうらしほみちれば、かたをなみ、あしべをさしてたづきわたる
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
数ならぬみ島がくれに鳴くたづを今日もいかにとふ人ぞなき
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
たづの 聞えむ時は
「難波潟潮干に立ちて見わたせば淡路の島にたづわたる見ゆ」(巻七・一一六〇)、「円方まとかたの湊の渚鳥すどり浪立てや妻呼び立ててに近づくも」(同・一一六二)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
和歌わかうらしほみちれば、かたをなみ、あしべをさしてたづきわたる
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
いはけなきたづの一声聞きしより葦間あしまになづむ船ぞえならぬ
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「磯の埼ぎたみゆけば近江あふみ八十やそみなとたづさはに鳴く」(巻三・二七三)、「吾が船は比良ひらの湊に榜ぎてむ沖へなさかりさふけにけり」(同・二七四)がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
さくらたづわたるあゆちがた潮干しほひにけらし。たづわた
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
雲近く飛びかふたづも空に見よわれは春日の曇りなき身ぞ
源氏物語:12 須磨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
この園にたづはしづかに遊べればかたはらに灰色はいいろたづひとつ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)