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鱗葺
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こけらぶき
ふりがな文庫
“
鱗葺
(
こけらぶき
)” の例文
その正面に当ってあたかも大きな船の浮ぶがように
吉原
(
よしわら
)
の
廓
(
くるわ
)
はいずれも用水桶を載せ頂いた
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根を
聳
(
そびやか
)
しているのであった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
仲之町夜桜の
盛
(
さかり
)
とても彼は貧しげなる
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根をば
高所
(
こうしょ
)
より見下したる
間
(
あいだ
)
に桜花の
梢
(
こずえ
)
を示すに
止
(
とど
)
まり、
日本堤
(
にほんづつみ
)
は雪に
埋
(
うも
)
れし低き人家と行き悩む駕籠の
往来
(
おうらい
)
に
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この辺はもう春といっても汚い
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根の上に
唯
(
た
)
だ
明
(
あかる
)
く日があたっているというばかりで、沈滞した
堀割
(
ほりわり
)
の水が
麗
(
うららか
)
な青空の色をそのままに映している
曳舟通
(
ひきふねどお
)
り。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この
辺
(
へん
)
はもう春と
云
(
い
)
つても
汚
(
きたな
)
い
鱗葺
(
こけらぶき
)
の
屋根
(
やね
)
の上に
唯
(
た
)
だ
明
(
あかる
)
く日があたつてゐると
云
(
い
)
ふばかりで、
沈滞
(
ちんたい
)
した
堀割
(
ほりわり
)
の水が
麗
(
うらゝか
)
な青空の色を
其
(
そ
)
のまゝに映してゐる
曳舟通
(
ひきふねどほ
)
り。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鱗葺
(
こけらぶき
)
の低い人家の間をば、道の曲るがまゝに歩いて行くと、忽ち廣い
不忍池
(
しのばずのいけ
)
が目の前にひらけて、新しい蓮の葉の上に、遮るものもない日の光と青空の輝きが目を射た。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
▼ もっと見る
母家
(
おもや
)
から別れたその小さな低い
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根といい、竹格子の窓といい、
入口
(
いりくち
)
の杉戸といい、殊に手を洗う縁先の
水鉢
(
みずばち
)
、
柄杓
(
ひしゃく
)
、その
傍
(
そば
)
には極って
葉蘭
(
はらん
)
や
石蕗
(
つわぶき
)
などを
下草
(
したくさ
)
にして
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その
木陰
(
こかげ
)
に
土弓場
(
どきゅうば
)
と
水茶屋
(
みずぢゃや
)
の
小家
(
こいえ
)
は幾軒となく低い
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根を並べているのである。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
広重は
顔見世乗込
(
かおみせのりこみ
)
の雑沓、茶屋
飾付
(
かざりつけ
)
の壮観を
外
(
よそ
)
にして、待乳山の老樹
鬱々
(
うつうつ
)
たる間より唯
幾旒
(
いくりゅう
)
となき
幟
(
のぼり
)
の貧しき
鱗葺
(
こけらぶき
)
の屋根の上に
飜
(
ひるがえ
)
るさまを以て足れりとなし、また
芝居木戸前
(
しばいきどまえ
)
の光景を示すには
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
鱗
漢検準1級
部首:⿂
24画
葺
漢検準1級
部首:⾋
12画
“鱗”で始まる語句
鱗
鱗形
鱗片
鱗雲
鱗粉
鱗茎
鱗光
鱗族
鱗魚
鱗型