面形めんがた)” の例文
ところが、その際に出来た面形めんがたが、あるいはその後、温泉の噴出が止むと同時に干上がってしまったのではないかと思われたのです。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「先生方にはただの木の面形めんがたでござれども、現にてまえが試みました。驚破すわとある時、この目を通して何事も御覧が宜しい。さあ、お持ちなさるよう。」
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
正兵衛は本当に、畳に面形めんがたを押さぬばかりにかき口説くのです。
かとおもへば、まへちかいのは、あらうことか、おにくび古綿ふるわた面形めんがたつたかたちに、もやがむら/\と瓦斯燈がすとうえたあとにわだかまつて、あやしく土蜘蛛つちぐもかたちあらはし、おな透間すきまからいき
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と云う時、かっしと片腕、ひじを曲げて、そのかに甲羅こうら面形めんがたいで取った。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その面形めんがたのごとくしゃくんだつらの、眉毛の薄い、低い鼻に世の中を何とにらんだ、ちょっと度のかかった目金めがねを懸けている名代なだいの顔が、辻を曲って、三軒目の焼芋屋のあかりてらされた時、背後うしろから
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)